ジャーナリズムの突破力 安田純平さん講演
2019年 11月 01日
主催者の代表・秋葉忠利さんは「国家に対峙する個人と言う意味でヒロシマと安田純平さんは共通する。国は戦争をしながら、被爆者に堪え忍べといってきた。安田さんは個人として戦場を駆け巡る中で国家と退治してこられた。」「個人が頼れるのは憲法だ。」と挨拶しました。
以下は安田さんのお話の概要です。

以下は安田さんのお話の概要です。
安田純平さんは、広島の中国新聞にも内定をもらっていたそうです。
シリアではアサド親子の独裁で秘密警察の監視が厳しく、不満があっても言えなかったそうです。2011年に始まったデモにも凄まじい弾圧で、逆に反発して仲間が増えていきました。
しかし、資金が続かなくなり、反政府も苦しくなった。ジャーナリストに期待してた。だが、次第にジャーナリストも期待されなくなり、罵声を浴びるようになった。
2013年頃にはイスラム系の組織が拡大。行政が不在の中でイスラムが広がっていた。そして、ギャングみたいに堕落した反政府の勢力をやっつけたのです。
イラクではイラク戦争はアメリカvs独裁者という構図だったが、
反米vsアメリカに変わりました。
そうした中でイスラム過激派が台頭。しかし、むちゃくちゃをやってイラクから追放されシリアで勢力を拡大。そして、イラクで混乱が起きた2014年にイラクにも巻き返したのです。
イラク戦争がISを造ったのは間違いない。
日本も自衛隊は後方支援で参加してきた。
日本が推進したイラク戦争でできたのですからISについてきちんと考えないといけない。関係ないことはない、と語気を強めました。
シリア政府はデモは煽られたテロリスト、デモを撃ったのはテロリストだ、空爆を殺されているのはテロリスト、テロリストを支援する外国の侵略だ、というが、現場へいけば普通の人だ、と安田さんは強調します。
政府軍は一般市民を含んで無差別攻撃をしているのは明らかです。
2015年からロシア軍が反政府軍の前線を崩しシリア政府が勢力を回復する流れになった。
アメリカはナチスに抵抗する人はレジスタンス、イラクでアメリカに抵抗する人はテロリストだと呼んだ。
テロリストと呼んでしまうと何でやっているかわからなくなってしまう。
都合の悪い人はテロリストだ、ということにしてしまった。
その事で原因を追求したりしなくなった。
こいつテロリスト、と言うことで、殺してしまう。シリアも中国も真似をしだした。
「テロ」というのは事実関係ではないので市民がそれに乗っかってはいけないのでは?と問いかけました。
シリアへの行き方は政府側の地域の場合はビザを取る、反政府の地域の場合は、周辺から密入国である。
反政府からの手引き、武装組織の承認が必要。
なぜ拘束されるか?
戦争では双方が相手側に情報提供者を作るから、知らないやつはスパイと思えだからだ。容疑が晴れれば受け入れられるが晴れないと拘束される。相手が気が変われば捕まるからしょっちゅう捕まる。アジアや中南米で真面目なジャーナリストは年に何回も捕まっている。
拘束されないのは現場を取材しないことである。
欧州の場合は行っちゃいけないと言う話にならない。
日本ではそうならない。
欧州は民主主義を作るのにジャーナリズムが必要と認識されているからである。
政府がいくなと言う場所でも、選択する材料が必要だ、と安田さんは強調します。
日本はそういうことを教えてこなかった。
ただ、ミスがあったことも安田さんは認めます。違う組織のところに入った。
イラクで2004年に拘束はされたが人質になったわけではない、相手側の要求はなかったが、日本のメディアが人質扱いの誤報をした。そのデマが外国メディアも報道してネットに残った。
そして、相手側組織は人質だから日本政府は相手によって金は払うと思い込み人質になった。
と言うことです。
(実際には、日本政府は個人が捕まっているときは対応しないのだが。)
カナダ人は1ヶ月で解放されたそうです。
カナダは身代金は払わないことが伝わっているからです。
カナダ人は帰しますと言う証明書をつけて帰す。
シリアの反政府がISにつかないのはISが酷すぎるから。イスラムとして許せないから。だから本来、身代金を要求して、呑まなかったら殺すと言うことはしない。
しかし、変なブローカーが勝手に交渉しだしたために解放が遅れたそうです。
のべ10ヶ所に拘束されたそうです。複数の民家の一室に。次は巨大な施設にも拘束。ウイグル人運営の施設にも拘束されたそうです。ウイグル料理を1日三回、日本人に近いものを食べたそうです。
ISとの違いは殺さないこと。
後悔してばかりだったそうです。
交渉に必要なのは「生存証明」。
拘束しているのか?生きているのか?交渉の意思を示す、人質本人に希望を持たせる。
本人しか答えられない質問を答えさせる。
動画や画像に日付が入っているものを入れさせる。
政府の対応は
解放に成功した国と情報交換、拘束2ヶ月で生存証明を取る準備はしたが最後まで使わなかった。なぜなら身代金を払いたくないから使わなかったです。
トルコ政府直属の支援団体「無償解放の話に家族の同意が欲しい」と言うのも政府は教えてくれなかったそうです。日本政府が解放を確認したのは解放翌日でした。
日本政府は解放に関与していないが、安田さんは、家族のケアなどは感謝していることは日本政府の官僚には伝えたそうです。
日本で放映された動画は「身代金取れないから武装勢力が日本マスコミに商売をし、演出やデマで揺さぶりをかけた」
ものということです。
メディアはまんまとその宣伝工作に乗ってしまったのです。
by hiroseto2004
| 2019-11-01 18:35
| 国際情勢
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