放射能汚染水を海に流さないで 署名
2019年 12月 17日
放射能汚染水を海に流さないで
「漁師にとって復興とは、獲った魚を、若いお母さんたちが買ってくれること。汚染水を海に流せば、それは遠ざかる。『放出しかない』という政治家は、俺らには会ってない。漁師の声を聞いてない。試験操業できる日も増えてきて、魚の値段も戻ってきているのに、汚染水放出があればそれが振り出しに戻ってしまう」
小野春雄さんは、福島県新地町で3代目の漁師。海を守るために、原発事故の放射能汚染水を太平洋に放出しようとする政府に、反対の声を上げ続けています。
現在、東京電力福島第一原子力発電所には、100万トンを超える放射能汚染水が保管され、今この瞬間も増え続けています。
プラスチック汚染や温暖化による海水温の上昇など、海はすでにさまざまな問題に直面しています。これ以上、命の源である海を犠牲にすることはできません。
海を愛し、海を守るコミュニティの中心にいるダイバーや、福島で放射線量を公開をしながら野菜や料理を提供するカフェオーナーも声を上げています。
プロダイバー武本匡弘さん「サンゴの白化やプラスチック汚染など、海の中では胸が締め付けられるようなことがどんどん増えています。汚染水を海に流すっていうことは、なかったことにするっていうことです。でも、海はゴミ箱じゃないんです。」
カフェオーナー大河原多津子さん「汚染水で海を汚してしまうというのは、世界のみなさまに対して本当に申し訳ない。あの事故 の影響はすごく大きいなと思っていますね。それをどれくらい政治や経済を担っている人が実感しているのか、情けないなと思います。」
原田元環境大臣は、汚染水の処理する方法として、太平洋へ「放出しかない」と発言しましたが、まだ処理方法は国の審議会で 議論中です。安易に放出せず、当面保管しながら、放射性物質をしっかり除く技術を開発するという選択肢があります。
グリーンピースは、国際海事機関(IMO)の会合でも、日本政府に放射能汚染水の海洋放出をしないよう求めています。10月には、ロンドンで行われる国際海事機関ロンドン条約の会議にグリーンピース・インターナショナル科学部門の海洋保護の専門家を派遣し、国連加盟国に直接訴えます。みなさんの署名は、国際海事機関、国連人権機関へ働きかけるためにも、大きな力になります。
なぜ放射能汚染水を流してはいけないの?
2011年3月11日から発生した東京電力福島原発事故で放出された放射能の70%は太平洋に流出しました。また溶融核燃料に触れた冷却水および地下水は高濃度の放射能汚染水となりました。回収できた分の汚染水は多核種除去設備などで処理され、およそ1000基ものタンクに保管されています。
しかし、2018年9月、トリチウム以外は除去できるはずの多核種除去施設で処理した放射能汚染水の80%でストロンチウム90やヨウ素129などが残っていることが明らかになりました。
2018年12月に開かれた公聴会では、海洋放出に対して反対意見が多数を占めました。 処理水が基準値以上の放射能を含んでいること、それを東電が市民にわかりやすい形で情報公開してこなかったことなども問題視されました。
トリチウムの半減期は12.3年です。リスクが無視できるレベルに低減するまでに120年以上かかります。
人体に取り込まれれば遺伝子を傷つける恐れがあります。
カナダ、アメリカ、イギリスなどにはトリチウム分離施設が存在します。
日本でもこれらのすでに実用されている技術を参考に、分離技術を開発すべきです。
汚染水処理対策委員会 委員長に、以下を求めます。
・放射能汚染水の意図的な放出はおこなわないこと。
・放射能汚染水は長期保管とし、並行してトリチウム分離技術を開発適用すること。