「世紀の取引」案をEUが批判/EU 「イラン核合意の維持に向け、いかなる努力も惜しまない」
2020年 02月 05日
EUのボレル外務・安全保障政策上級代表が、「“世紀の取引”案は国際合意や国際基準に反している」と指摘しました。
イルナー通信によりますと、ボレル上級代表は4日火曜、声明を発表し、「EUは、1967年の第三次中東戦争でイスラエルが占領した土地の領有権を承認していない」と述べました。
また、「世紀の取引」案をめぐる問題の最終的なかたちについては、「当事者双方の直接協議により決定されなければならない」と強調しました。
EUはこれ以前にも、シオニスト政権イスラエルが占領地パレスチナ領内で入植地を拡大していることにはっきりと反対の意を表明していました。
米トランプ大統領は先月28日、ホワイトハウスでイスラエルのネタニヤフ首相と並んで、親イスラエルに偏向した一方的なパレスチナ処遇案としての「世紀の取引」案を発表しました。
同案には主な内容として、聖地ベイトルモガッダス・エルサレム全域をシオニスト政権イスラエルの首都として承認すること、ヨルダン川西岸の30パーセントにあたる土地をイスラエルに委譲すること、他国に移住したパレスチナ難民が祖国に帰還する権利を認めないこと、パレスチナの完全な武装解除などが盛り込まれています。
EU 「イラン核合意の維持に向け、いかなる努力も惜しまない」
EUが4日火曜、「我われはイラン核合意の維持に向けて、いかなる努力も惜しまない」と強調しました。
タスニーム通信によりますと、欧州対外行動庁メディアサービス局は声明の中で、EUのボレル外務安全保障政策上級代表による先のイラン訪問に触れ、ボレル上級代表の話として、「EUは核合意を維持する上でいかなる行動や努力も惜しまない」と主張しました。
この声明では、ボレル上級代表とイランの政府高官の会談、および主に核合意を議題とした会談の内容にふれ、「ボレル上級代表は、核合意のすべての関係国が合意内容を完全に履行する必要性を強調した。また、核合意共同委員会の調整役として地域や世界の安全にとって鍵となる重要な核合意の維持に向けて可能な限り取り組んでいく決意だ」としています。
3日月曜にテヘラン入りしたボレル上級代表は、ローハーニー大統領、ラーリージャーニー国会議長、ザリーフ外相と個別に会談し、イラン核合意をめぐる最新状況について話し合いました。
英独仏の欧州3カ国は、米国が昨年5月8日に核合意から違法に離脱した後、イランの経済利益を確保し合意を存続させると約束していました。
しかし、3カ国は言葉の上では米国の行動に対抗しつつも、これまで合意存続を助ける具体策を何ら機能させることができないままでいます。
イランは昨年5月8日、米国の核合意離脱から1年が経過する中、ヨーロッパ側の提案策が功を奏していないことを確認した上で、核合意に定められた責務内容を、同合意の第36項と26項に照らして停止すると発表しました。
イランは、これまで5段階にわたって核合意の責務を縮小しています。