記録的な大雨で、熊本県では、球磨川など2つの川の11か所で氾濫したほか、人吉市では球磨川の堤防が決壊し、いずれも広い範囲が水につかりました。
各地で土砂崩れなどの被害も相次ぎ、新たに人吉市で9人の死亡が確認されました。
芦北町では4日、80代の女性が死亡したほか、これまで心肺停止になっていた人など5人の死亡が確認されました。
また、津奈木町では80代の男性が死亡しました。
さらに、球磨村では高齢者施設で14人が心肺停止になっているほか、別に3人が心肺停止になっています。
行方が分からなくなっている人も相次いでいて、
▽球磨村で5人、
▽津奈木町で2人、
▽芦北町で3人、
▽人吉市で3人が行方不明となっています。
球磨村の渡地区にある特別養護老人ホーム「千寿園」では、川の水があふれて水につかり、入所者などの高齢者およそ50人と施設のスタッフが取り残され、このうち14人が心肺停止となっています。
県などによりますと、取り残された高齢者の中には、体調のすぐれない人もいたということで、自衛隊が夜を徹して救助を進め病院に搬送したということです。
また、相良村など県内のおよそ30の地区で孤立状態となっていて、熊本県は、できるだけ早く孤立状態を解消したいとしています。
「千寿園」救助された人たちは…
川の水があふれて水につかり14人が心肺停止となった熊本県球磨村の特別養護老人ホーム「千寿園」の近くでは、施設につながる道路が冠水し、消防や自衛隊がボートを使って取り残された人たちを次々に救助していました。
救助された人たちは疲れた様子でことばもなく、隊員に抱きかかえられながら車に乗っていました。
救出された91歳の堤正通さんは3日からショートステイで夫婦で施設を利用していて「救助してくれてありがたかった、本当に怖かったです」と話していました。
迎えに来ていた息子の俊介さんは「施設に連絡してもつながらず状況が全くわからなかったので心配でした」と話していました。
救助に当たっていた自衛隊員によりますと「施設にはまだ30人以上取り残されている。今晩中に全員救助したい」と話していました。