14人が心肺停止となっている熊本県球磨村の特別養護老人ホーム「千寿園」で救助にあたった地元の男性が取材に応じ、当時の状況について、「1階部分は完全に水につかり、めちゃめちゃな状態だった」と説明しました。
流出免れたボートで「千寿園」へ
球磨川でラフティングの体験ツアーを開催している会社「ランドアース」の社長、迫田重光さんは、14人が心肺停止となっている「千寿園」の救助活動にあたりました。
所有する多くのボートが流されるなか、かろうじて流出を免れたボート2そうを救助に活用し、4日は球磨村の渡地区で、屋根の上に取り残された住民15人前後を会社のスタッフと手分けして救助したあと、「千寿園」に向かったということです。
「1階が完全に水 中に入れない 施設内はめちゃめちゃ」
当時の状況について迫田さんは「50人とか60人が施設にいると聞いていた。千寿園は、1階部分が完全に水がつかり、中に入れない状態だったため、窓などのハンマーで割って何とか中に入っていった」と話しました。
そのうえで「水かさがだいぶあって、何人かはすでに亡くなっているような状態でした。ほかの人たちは2階にいて、救助しましたが、施設内はめちゃめちゃな状況でした」と話していました。
建物屋上から自衛隊員らが入所者の救助
迫田さんが社長を務めている会社のスタッフが自衛隊などとともに救助にあたった際の写真には、手前には、自衛隊員と一緒にボートに乗ったスタッフが写っています。
その奥では、千寿園の建物の屋上から自衛隊員らがはしごをつかって、入所者の救助にあたっていました。
球磨村職員 2階や高台に避難する訓練を行っていた
記録的な大雨で大きな被害を受けた熊本県球磨村の中渡徹防災管理官は、「千寿園」について、施設では年に2回大雨による災害を想定し、建物の2階や高台に避難する避難訓練を行っていたということですが、「今回の避難の状況については今後、詳しく検証したい」と話しています。
また今回の大雨について、「4日の午前2時前から球磨川の水位が急に上昇した。防災行政無線で何度も避難を呼びかけたが、水かさが増すのが速かった」などと話しました。村では、球磨川にかかる6つの橋のうち、4つが流されたほか、国道219号線が寸断されあちこちで孤立している地区があるということです。