町長がやばいときには住民投票条例を否決。これは議会としてはいかがなものか?
まずは、町民からでてきた住民投票請求については、前向きに対処すべき。
他方で、首長が先頭にたって、議員のリコールをやる、可決されるまで何度も住民投票をやるのは、
一種のクーデターですね。
いわゆる「核のごみ」の最終処分場の選定をめぐり、調査に応募した後志の寿都町で臨時町議会が開かれ、応募の是非を問う住民投票の条例案は否決されました。
寿都町は先月、原子力発電所の使用済み核燃料から出る高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のごみ」の最終処分場の選定をめぐり、第1段階となる「文献調査」に応募しました。
これに対し、地元の住民団体が応募の是非を問う住民投票の条例制定を求める請求書を町に提出し、13日午前から臨時町議会で条例案の審議が行われました。
この中で、住民団体の代表が意見陳述し、「賛成、反対どちらが多いか判断するには住民投票するのが正当だ。賛成が多いなら町長が正しい、反対が多いなら撤回してもらうしかない。ごまかしたままにするのは町を分断することになる」と述べ、住民投票の必要性を訴えました。
その後、条例案に反対する議員が1人、賛成する議員が4人、討論を行ったあと採決が行われました。
その結果、賛成、反対が4対4と同数になったため、最終的に議長の裁決で条例案は否決されました
審議にあたっては、片岡春雄町長が「文献調査を通じて町の中で対話活動を積み重ねることによって、最終処分事業について理解を深めることが重要と考えており、現段階において住民投票を行う必要はない」として、反対の意見を付けていました。
条例案が否決されたことについて、住民団体「子どもたちに核のゴミのない寿都を!町民の会」の共同代表の1人、三木信香さんは、「もっとそれぞれの議員から意見が出て、議論されると思っていたが、あまりにもあっけなくて納得はできないです。悔しいを通り越してこれで決まってよいのかと怒りを感じます。当初の町長が感じていた『肌感覚』よりは明らかに反対が増えていると思う。議会に思いは伝わらなかったがまだ諦めたくない」と話しました。
否決されたことを受けて、団体では今後の対応を検討することにしています。
一方、片岡春雄町長は採決のあと、報道関係者の取材には何も答えませんでした。
寿都町議会の小西正尚議長は「賛成、反対が4対4となり、この状況では町長の判断が尊重されるべきだと思う。文献調査で『核のごみ』が持ち込まれるわけではないし、勉強することは必要だ。勉強するのに住民投票は必要ないと考えている」と述べました。
【審議の様子は撮影できず】
寿都町議会は、議長の許可がない限り、議会の審議の様子を撮影、録音することを規則で禁止しています。
NHKを始め報道各社は許可を求めているものの、小西正尚議長は認めず、認めない理由についても明らかにしていません。
また、新型コロナウイルスの感染拡大防止を理由に議会を傍聴できる人数も15人までに制限しています。
それを超える傍聴希望者や報道関係者に対しては、別室に準備されたモニターで傍聴するよう求めています。
【文献調査は来週にも認可】
文献調査は国の認可法人、NUMO=原子力発電環境整備機構が行います。
NUMOは今月2日に、寿都町と神恵内村で調査をするのに必要な申請を経済産業大臣に行いました。
早ければ来週にも認可される見通しで、実際の調査はそのあとに始まることになります。
文献調査の応募について、住民に直接賛否を問う必要はないと判断した寿都町議会。
住民投票に一貫して否定的だった片岡町長の意見を支持したかたちです。
しかし、住民団体が結論に納得したとは言いがたく、一部のメンバーの間では町長のリコールを求める強硬な声もくすぶっています。
文献調査は今月にも始まり、最終処分場の選定に向けたプロセスがいよいよ動き出すことになりますが、町は説明を尽くすことで分断を修復させるという重い課題を背負いました。