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庶民派知事で何があっても心配いらない広島を ヒロシマ庶民革命


by hiroseto2004

憲法改正国民投票法案が成立の危機に CM規制の必要性について、市民へ広める必要性がある


国家の重大事を国民投票で決めるケースはいわゆる先進国でも
少なくはありません。しかし、その場合でも賛成・反対の両派に
国が同額の補助金を出してその枠内で活動をさせる(ノルウェーのEU加盟是非の国民投票)など、
配慮がされています。
以下、弁護士の海渡雄一さまからの呼びかけです。
憲法改正国民投票法案が成立の危機に
CM規制の必要性について、市民へ広める必要性がある
     海渡 雄一(弁護士)
1 早期成立を煽る読売新聞
 国民投票法案が連休明けに衆院で採決されそうな状況だ。このようなことになった背景は、改憲発議に積極的な読売新聞が早期審議・採決を求め、立憲民主党を攻め立てていたことか背景にある。
19日の社説で、読売新聞は、「国民投票法改正 いつまで足踏みを続けるのか」と題して、「自民、立憲民主両党の幹事長は昨年12月、改正案について、この国会で「何らかの結論を得る」ことで一致している。
 公党間の合意を反故にするかのような立憲民主党の姿勢は、理解に苦しむ。改正案を採決すると、憲法論議が本格化することになる。それを阻むための時間稼ぎと批判されても仕方なかろう。
 立憲民主党は、国民投票でのテレビ・ラジオCMの規制が不十分だと訴えている。資金力のある政党や団体がCMを大量に流せば、情報量の面で公平さを欠くことになるという主張だ。
 だが、こうした議論は法制定時からあった。活発な意見表明を促すため、原則として国民投票運動は自由とし、規制を最小限にする観点から、投票14日前からに限ってCMを禁じた経緯がある。」と立憲民主党を批判した。
2 立憲民主党が採決に応ずる方針
 このような攻撃に耐えきれず、立憲民主党は、連休明けの法案採決について合意してしまった。
 4月28日に立憲民主党憲法調査会が開かれ、野党筆頭理事の山花郁夫氏が、CM規制を、3年をめどに法改正を検討するという付則を盛り込んで国民投票法を採択するという方針を説明し、了承を取り付け、与党筆頭理事の新藤義孝氏に通知したのである。
 付則はついたものの、立憲民主党が、CMの規制条項もなしに採決に応ずるのは、改憲への途を開くものであり、大変残念な状況となっている。
3 憲法改正国民投票の選挙運動
 ここで、国民投票の選挙運動について、総務省の説明を紹介したい。
総務省HPより
「憲法改正案の内容を国民に知ってもらうため、国民投票広報協議会(各議院の議員から委員を10人ずつ選任)が設置されます。憲法改正案の内容や賛 成・反対の意見、そのほか参考となる情報を掲載した国民投票公報の原稿作成、投票記載所に掲示する憲法改正案要旨の作成、憲法改正案などを広報するための テレビやラジオ、新聞広告などを行います。
憲法改正案に対し、賛成又は反対の投票をするよう、又はしないよう勧誘することを「国民投票運動」といいます。
政党やその他の団体、マスコミ、個人 などが、一定のルールのもとに「国民投票運動」を行うことができます。
例えば、投票期日14日前からは、国民投票広報協議会が行う広報のための放送を除き、テレビやラジオの広告放送は制限されます。」
 このせつめいは、つまりのところ、14日前より以前は、テレビやラジオの広告放送は自由ということになってしまうということである。
4 広告が憲法を殺す日
 今のままでは、投票の14日前以前は、テレビとラジオの広告は無制限となる可能性がある。この点について、もと博報堂に勤務されていた本間龍氏の南部義典氏との共著『広告が憲法を殺す日』集英社新書で次のように警告されている。
 本間さんは博報堂に勤めていた方だが、自民党と電通との結びつきが強く、仮に憲法改正の発議がされようとすると、ゴールデンタイムのコマーシャル枠を全部抑えてしまうことができるだろう。そうすると野党、反対派が広告をやろうとしても、とても入り込む隙がないだろうと指摘されている。
 例えば、ゴールデンタイムに一本コマーシャルを入れるのに、大体300万円から500万円かかると言われる。憲法改正の国民投票の事前の国民投票運動期間が180日となっている。その間、そのスポット広告とか、タイム広告とかを影響力があるだけやろうとしたら、1130億円ぐらいのお金がかかる。それだけの資金が用意できる勢力がテレビのゴールデンタイムの枠を抑えられることができるとなるとそこに次々と有名タレントや有名人が出てきて、「私は憲法改正に賛成です」「賛成投票を皆さん一緒にしましょう」、そういう広告を毎日毎日流し続けることができるのだ。
 この国民投票法で、広告をどう規制するかという問題の議論が残っている。財力・宣伝力の差が結果につながるような国民投票を許してはならない。しかし、この問題について、法案は何の手当もしていない。
5 法案本文は何一つ変わっていない。
 この点について法案そのものは、何一つ変わっていないのである。立憲民主党の要請で、将来の検討課題という付則が盛り込まれただけである。これで採決に応ずるという立憲民主党の対応には首をかしげるしかない。
 しかし、市民の反対の声が盛り上がっていない状況で、立憲民主党だけを責めても生産的とは言えないだろう。
 この時点で、私たちにできることは、この国会会期中に反対の声を盛り上げることだ。法案にこのような問題があることは、広く市民の間に知られているとはいいがたい。
 まずは、憲法改正そのものの問題点も含めて、国民投票法案の問題点をわかりやすく市民に広げ、野党が反対しやすい環境を作り、会期末までに法案を成立させないために、がんばろう。

by hiroseto2004 | 2021-05-04 19:11 | 憲法 | Trackback