生活保護費引き下げは違憲 熊本地裁判決を低福祉高負担国家脱却の第一歩に
2022年 05月 25日
生活保護費引き下げは違憲 熊本地裁判決
消費税は引き上げたのに生活保護費は引き下げ。
「低福祉高負担」突き進んだ安倍政権を熊本地裁が断罪しました。
今回は、判断の過程や手続きに問題があったという判決です。
ともかく、安倍政権の横暴が裁かれたということです。
これを憲法25条をいかしていく方向への転換点にしたいものです。
さて、この生活保護引き下げの背景には2009-2012,野党だった自民党、とくに財務省ご出身の片山さつき議員を先頭にした生活保護バッシングがありました。
そもそも、生活保護をうらやむ向きもありますが、それは、この20-30年、日本では賃金がいわゆる失敗国家以外では唯一といっていいほど、上がってこなかったということも背景にあります。
そして、さらには、男女の賃金格差もあいかわらず激しかった。すなわち女性の仕事だからとないがしろにされてきた
分野の賃金が相変わらず低く抑えられてきたこともおおきい。そうした中で生活保護バッシング(シングルマザーバッシング)、専業主婦バッシングなど様々な脚の引っ張り合いがおきています。
もはや、現状
低福祉低負担のアメリカ型か?
高福祉高負担の北欧型か?
そういう議論以前の状態に日本はあります。
90年代以降、00年代までの新自由主義(アメリカナイズ、経団連、94年ころは日経連の要求でもあった。橋本龍太郎さん、小泉純一郎さんらが典型例)に加えて、さらに2012年末に再登板した安倍政権の腐敗が日本を低福祉高負担国家にしてしまった。
消費税は実質的には欧州諸国なみにたかく、医療以外のセーフティーネットはアメリカさえよりもお粗末という国になってしまった。
アメリカでも、生活保護はお金持ちの大学教授の息子でも受けられます。
日本は高齢化しているから、といいますが、言い訳にならない。日本人は主要国でも群をぬいて高齢者が働いています。78歳で80時間残業して脳梗塞で倒れた人がいるくらいです。
90年代のアメリカナイズにしても、実際はアメリカは農業に手厚い保護をしていますし、交通機関も公営を維持しいていたりします。医療だけはご承知のとおり、お粗末ですが、それでもオバマ以来改革の努力はされています。
日本は野放図な規制緩和、新自由主義グローバリズムで、食料の安全保障もぼろぼろ、公共交通機関もガタガタ。そういうありさまです。
一度、ガツンと財政出動で、給料を引き上げる。
食料の安全保障や原発なきエネルギーの安全保障に投資をしていく。
その上で、コロナでも儲かっているような超大手や超大金持ち
には適切にご負担いただく。そうして、一定程度立て直してから
国民的議論をへて、アメリカ型か欧州型かを選択するというか、
そういう政策論争をしていけばいいでしょう。
繰り返します。90年代のアメリカナイズと、2012年以降の安倍政治の合わせ技で低福祉高負担国家、あるいは腐った国になった日本。その立て直しの第一歩にしたい。
生活保護費引き下げを違法と判断 取り消す判決 熊本地裁 | NHK
生活保護費が平成25年から段階的に引き下げられたことについて、熊本県の受給者が最低限度の生活を保障した憲法に違反するなどと訴えた裁判で、熊本地方裁判所は引き下げを違法と判断し取り消す判決を言い渡しました。引き下げを取り消した判決は、去年2月の大阪地裁に続いて2件目です。
生活保護費のうち、食費や光熱費など生活費部分の基準額について、国は、物価の下落などを反映させる形で平成25年から27年にかけて最大で10%引き下げました。
これについて熊本県内の受給者36人は「最低限度の生活を保障した憲法に違反する」などとして、自治体が行った引き下げの取り消しを求める訴えを起こしました。
裁判では国が基準額を算定する際の手法や手続きに問題があったかどうかが争点となっていました。
25日の判決で、熊本地方裁判所の中辻雄一朗裁判長は「引き下げを決定した判断の過程や手続きには、統計などの客観的数値との関連性や専門家の知見などとの整合性を欠く誤りがあり、厚生労働大臣の裁量権を逸脱している」などと述べて引き下げを違法と判断し、取り消しました。
原告の弁護団によりますと、全国29の裁判所で起こされた同様の集団訴訟の判決は今回が10件目で、原告の訴えを認め、引き下げを取り消したのは去年2月の大阪地裁に続き2件目です。
原告「うれしいのひと言」
原告の1人で熊本市中央区に住む80歳の男性は「うれしいのひと言です。苦しい生活に取り合ってくれない理不尽さを訴えてきました。おそらく控訴してくると思いますが、たたかう心の準備はできています」と話していました。
熊本市「国と協議して控訴するか検討」
36人の原告のうち、最も多い27人が生活保護を受給し、裁判で被告の立場の熊本市は「判決文を読んで精査したうえで、国と協議して控訴するか検討したい」とコメントしています。
by hiroseto2004
| 2022-05-25 19:47
| ジェンダー・人権(反貧困)
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