庄原市が進めたバイオマス事業が中止となり、市が事業会社に支給した国からの補助金2億3800万円あまりを市の予算で返還したのに対し、市民グループが事業を進めた前の市長に支払いを求めた裁判の2審の判決で、広島高等裁判所は1審に続いて、原告の訴えを認め、前の市長に損害賠償を求めるよう市に命じる判決を言い渡しました。
庄原市が進めたバイオマス事業は、事業会社が破綻し、平成21年から2度にわたって国の補助金の不正な受け取りが明らかになったことから、市はこの補助金の一部の2億3800万円あまりを市の予算から国に返還しました。
これについて市民グループは、事業を進めた滝口季彦前市長に支払いを求めるべきだという訴えを起こし、1審の広島地方裁判所は去年3月、2億3800万円あまりの損害賠償を前市長に求めるよう市に命じる判決を言い渡し市が控訴していました。
11日の2審の判決で広島高等裁判所の西井和徒裁判長は、「事業の実現可能性が相当低いのに補助金を交付した判断は著しく妥当性を欠くもので、前市長は実現できるか調査確認する義務を怠ったといわざるを得ない」として、1審に続き2億3800万円あまりの損害賠償を前市長に求めるよう市に命じる判決を言い渡しました。
●原告「真摯に受け止めを」
判決のあと、市民グループの名越一雄代表は、「長い戦いだったが、庄原市には今回の判決を真摯(しんし)に受けとめて、やるべきことをやってもらいたい」と話していました。
●庄原市長「判決を精査」
庄原市の木山耕三市長は、「今後の対応については判決の内容を精査したうえで検討します」とコメントしています。