人気ブログランキング | 話題のタグを見る

庶民派知事で何があっても心配いらない広島を ヒロシマ庶民革命


by hiroseto2004

理研が3月末に380人を雇い止め 文科省は理研の違法行為に手を貸すな! 日本の基礎研究の大打撃を防ぐための緊急署名

理研が3月末に380人を雇い止め

文科省は理研の違法行為に手を貸すな!

日本の基礎研究の大打撃を防ぐための緊急署名






発信者:理研非正規雇用問題解決 ネットワーク 宛先:厚生労働大臣 加藤勝信様、文部科学大臣 永岡桂子様

理研が3月末に380人を雇い止め

文科省は理研の違法行為に手を貸すな!

日本の基礎研究の大打撃を防ぐための緊急署名

発信者:理研非正規雇用問題解決ネットワーク

宛先:厚生労働大臣 加藤勝信様、 文部科学大臣 永岡桂子様

市民のみなさん。

 理化学研究所は3月末に10年の雇用上限を口実にして、380人の雇い止めを労働組合の反対を押し切って強行しようとしています。これにより多数の研究プロジェクトが中断することになり、日本の科学研究に大打撃を与えることになります(1)。

 理研が雇い止めする狙いは、有期契約(期間の定めがある労働契約)から無期雇用(期間の定めの無い)に転換する権利(無期転換ルール)を研究者に与えないことにあります(2)。

 こうした無期転換ルールの適用を意図的に避けることを目的とした研究者の雇い止めは、理研に限らず他の大学や研究開発法人等でも問題となっています。文部科学省はこうしたことは「労働契約法の趣旨に照らしての望ましいものではない」とする通知を昨年11月7日に発しました。

 ところが文科省は、この通知の中で、理研が昨年9月30日に発した「新しい人事施策の導入について」を改善に向けた取り組み例として例示したのです(3)。これでは理研が行おうとしている380人の雇い止めに、文科省がお墨付きを与え、後押しをすることになります(4)。

 理化学研究所労働組合が理研当局に雇い止めの撤回を団体交渉で求めても、”文部科学省が認めているから”と全く取り合わなくなっています。

 昨年12月、理研労が文科省に”理研の雇い止めに手を貸すな”と要請しましたが、まったく聞く耳を持ちませんでした。

 380人の研究者らはいずれも税金で育成された”頭脳”であり、国民の大切な共有財産です。

 ある研究プロジェクトのチームリーダーは、雇い止め期日が近づくもとで、外資系企業に転職されました。まさに”日本の頭脳流出”、”研究者の使い捨て”です(5)。

 私たち理研の非正規雇用問題を解決するネットワークは、理研本部のある和光市周辺の市民、労働組合、理化学研究所労働組合の役員などによる有志グループです。

 私たちは市民として文科省だけでなく、厚生労働省に対しても理研の雇い止めを撤回させるために以下のことを要請します。

  1. 「貴法人における無期転換ルールの円滑な運用について(依頼)」(4文科科第556号)の「研究者、教員等の雇用状況の改善に向けた取組例等」から理化学研究所の例を削除すること
  2. 労働契約法の趣旨に反する雇止め撤回の指導を理化学研究所に行うこと

 市民の皆さん

 この署名に賛同してください。そしてSNSでの拡散にご協力ください。

 よろしくお願い致します。

(1)先進的な研究プロジェクトが中断

 理研は、日本で唯一の自然科学の総合研究所です。物理学、工学、化学、数理・情報科学、計算科学、生物学、医科学など幅広い分野の研究を進めています。まさに日本の最先端の頭脳が結集している職場です。

 理研は、経営が傾いているわけでもないのに、10年の雇用上限を理由に3月末に203人の雇い止めを強行しようとしています。その影響で42の研究チームが解散となり、チームに所属する177人も含めて合計で380人が雇い止めの危機に直面しています(2022年4月1日時点)。

 理研は研究者の8割が非正規雇用で、任期付の研究者は毎年厳しい業績評価を受けて、1年契約を繰り返しています。10年以上残れるのは4人に1人で、雇い止めの対象となっているのは、10年間にわたって業績を上げ続けてきた経験豊富な研究者ばかりです。

 いずれの研究者も理研の第4期中長期計画(2018年4月~2025年3月)に基づいた研究プロジェクトを遂行しており、雇い止めによりこれらの研究が中断に追い込まれます。雇い止め対象者の内68人には来年度の競争的資金として105件8億2250万円が配分される予定です(下記一覧表)。雇い止めとなれば、これらの研究プロジェクトの多くが中断に追い込まれ、日本医療研究開発機構(AMED)や日本学術振興会(JSPS)などの競争的資金が無駄になります。

 今回の雇い止めの強行は、様々な研究分野に取り返しのつかない打撃を与え、日本の研究力低下に拍車をかけることになるのは間違いありません。

(2)理研の雇い止めは違法行為

 理研が、10年の雇用上限を理由に雇い止めを強行する目的は、有期労働契約(期間の定めのある契約)を無期労働契約に転換することを阻止することにあります。

 2013年の労働契約法の改正により、有期労働契約が更新されて5年を超えた時、労働者が申し込みをすれば、無期労働契約に転換することを使用者は義務づけられました(無期転換ルール)。その趣旨は、2012年のリーマンショック後に横行した”派遣切り”を再び起こさないために非正規雇用の正規化を図ることにあります。2014年、研究者の無期転換権の発生は特例で通算10年に延長されました(研究開発力強化法)。

 理研は、無期雇用転換権が発生する直前の3月末に雇い止めしようとしており、これは労働契約法の趣旨に反する脱法行為です。

 雇い止めの理由となる10年の雇用上限は、2016年に労働組合の反対を無視して押し付けたもので、その起算日は2013年にさかのぼっています。

 有期労働契約の締結後に新たに雇用上限を設けることは「労働条件の不利益変更」にあたり、それは労働者の合意なしにはできません(労働契約法9条)。無期転換逃れのために雇用上限を遡及して押し付け、それを口実にして雇い止めを強行するのは違法に違法を重ねる暴挙です。

 理研は、2018年にも5年の雇用上限を理由に事務系職員の大量雇い止めの強行を企てました。しかし、労組の反対、野党の国会での追及により、雇い止めの1カ月前に5年上限を適用しないことを発表して、雇い止めは回避しました。今回の雇い止めは、法的には2018年のケースと同じです。違法であることは、誰よりも理研当局自身が理解しているはずです。

 1月13日現在、3人の研究者が雇い止め通告の撤回を求める裁判を起こしていますが、理研側は雇い止めをした後で2年だけ再雇用する「理事長特例」を提示してきています。裁判で雇い止めについてまともに争えば負けることが目に見えているので、条件を示して和解に持っていこうとしているのです。

 理研は、違法性を自覚しながら、雇い止めを強行しようとしています。

(3)違法行為をごまかすための「新人事施策」

 国際的に権威のある科学雑誌『サイエンス』(昨年7月6日付)や『ネイチャー』(同年7月19日付)が、研究者の”使い捨て”だと批判するなど、理研の違法な大量雇い止めに対する批判は日本のみならず、世界にも広がりました。

 追い詰められた理研は昨年9月30日に、雇用上限を撤廃するとした「新しい人事施策の導入について」を公表しました。

 しかし、雇用上限の撤廃は2023年4月1日からで3月末雇い止め対象者には適用されません。さらに、就業規則の改定で、10年の雇用上限はなくなりますが、「アサインド・プロジェクト」という名称で契約期間の上限を、従事する研究プロジェクト期間とは関係なく任意に設定し、雇い止めの正当化を図ろうとしています。4月以降も研究者が従事する本来のプロジェクト期間に関係なく、雇い止めが行われる危険があります。

 「新人事施策」は、雇い止めの理由を「プロジェクトの時限の到来」と記して、あたかも研究プロジェクトが終了するかのように誤解を与える表現にしています。

 この文章では、175件(2022年9月現在)の募集を行い、今後200名規模の募集を見込んでいるとして雇い止め対象者が新規募集に採用される見込みがあるかのように誤解を与える表現になっています。募集中の件数、新規募集件数とも、すべての研究分野にわたるものを単に件数だけを合計したもので、雇い止め対象者の研究分野に合致していない場合には、応募しても採用されることはありません。

 このように「新人事施策」は、雇い止めの違法性を隠すためであって、理研の雇い止めの方針はいささかも変わっていません。

(4)文科省が理研の「新人事施策」を評価

 文科省は昨年11月7日付で「無期転換ルールの円滑な運用について(依頼)」と題する通知を全国の大学法人、文科省所管の研究開発法人宛てに発しました。通知は「無期転換ルールの適用を意図的に避けることを目的として、無期転換申し込み権が発生する前に雇い止めや契約期間中の解雇等を行うことは、労働契約法の趣旨に照らして望ましいものではない」と明記しました。

 これを受けていくつかの大学非常勤講師の雇い止めが撤回される動きが広がりました。これは重要な成果です。

 しかし、文科省の通知は理研の「新人事施策」を「研究者、教員等の雇用状況の改善に向けた取組例」として紹介しています。これでは文科省が理研の「新人事施策」にお墨付きを与え、380人の雇い止めを後押しすることになります。

 理研労は、昨年12月23日、理研の雇い止めは、文科省が「望ましいものではない」としている労働契約法に反する雇い止めそのものだとして、通知で理研の「新人事施策」を肯定している記述を削除するように要請しました。

 しかし、文科省は理研労の要請を受け入れませんでした。

 文科省が理研の違法行為にお墨付きを与えることを放置するわけにはいきません。

 雇い止めした後に、業務に関係なく契約期間の上限を押し付ける「アサインド・プロジェクト」のような契約を締結することが許されるならば「無期転換ルール」は完全に骨抜きになります。私たちは厚生労働省の見解を問うつもりです。

(5)理研が上意下達の研究所に変質

 理研はこれまで非正規雇用が8割を占めますが、研究業績を上げ続ければ定年まで働き続けられる職場でした。しかし、今回の雇い止めの強行により、どんなに業績を上げたとしても、理事長やセンター長が認めない限り、10年以上は働くことができない職場となります。そのことを可能とするのが「アサインド・プロジェクト」です。

 研究業績が認められる組織から、上意下達が貫徹する組織に変質しかねません。

 これでは研究者の創意に基づいた研究は出来なくなり、優秀な研究者は理研に来なくなるでしょう。研究職の魅力はさらに落ち込み、学生たちは研究者になりたいとますます思わなくなります。

 理研の380人の「雇い止め」を撤回させるために、どうか、署名にご協力ください。


by hiroseto2004 | 2023-01-24 19:00 | ジェンダー・人権(労働問題) | Trackback