広島瀬戸内新聞ニュース号外7・24 ホームヘルパー国賠訴訟第三回控訴審、聞く耳持つ?裁判長/児童生徒を守って負傷した教職員への補償を最後まで
2023年 07月 24日
https://youtu.be/XCBYpdq_T0o
ホームヘルパー国賠訴訟第三回控訴審。
児童生徒を守って負傷した教職員への補償を最後まで行ってください
補償は症状が固定するまで あとは民事で
埼玉県戸田市内の中学校に勤務する男性教諭が、今年3月、教室に侵入した少年によってナイフで複数箇所を切り付けられ、重症を負いました。8時間に及ぶ手術や入院を経て教壇に復帰したものの、左手にまひが残っています。男性教諭は少年を羽交い締めにし、もみ合いになるなど、体を張って生徒を守ったため、生徒に被害はありませんでした。
男性教諭に対し埼玉県教育委員会は「労災の対象は症状が固定するまでの治療費などで、それ以外は民事。自分で加害者と示談の交渉をしてもらうしかない」と説明しました。「公務で生徒を守り負傷したことが民事なのか。これでは学校で階段から落ちるのと変わらないのではないか。」と男性教諭は語ります。(以上、埼玉新聞の報道より)
これでは児童生徒の安全が守れない
症状が固定した後も、障害が残った場合は障害補償が受けられます。しかし、残った症状が確実に障害と認定される保証はなく、不安が残ります。また、精神的損害への慰謝料や物的損害の賠償は公務災害補償制度の対象外で、加害者と示談するしかありません。
児童生徒を守るために負傷したら、最後まで確実に公的な補償が得られると思えない状況で、教員が命を懸けてでも児童生徒を守ろうとするでしょうか。教員が命を懸けて児童生徒を守るべきかどうかの議論は別途必要ですが、自らの意志でそうしようと考える教員であっても、補償面での不安が判断に影響を与える可能性があります。いざというとき、児童生徒の安全を守る最後の砦は教員の行動しかありません。教員に対する補償を「ケチる」あまり児童生徒の命が失われるようなことがあったら、そちらのほうがよほど大きな損失です。
児童生徒を守った場合の負傷は無条件に補償 警備員の配置も
戸田市の事例以外にも、不審者が学校に侵入する事例は全国で相次いでいます。
いざというときに児童生徒の命を守れるのは教員しかいません。ですから、第三者加害による公務災害のうち、児童生徒の命を守るために取った行動と認められるものについては、金額や期間の定めなく公が責任を持って補償するとともに、精神的損害への慰謝料や物的損害の賠償などにも補償の対象を広げていただきたいと思います。公務のために負傷した教員自身に民事上の請求をさせるのではなく、まずは公が教員に全額補償し、その後、加害者に対して求償すべきです。
こうした制度改正は、最終的には法改正を伴うことになるでしょう。しかし法改正にはかなりの時間がかかると思われますので、地方公共団体のレベルで、迅速に対応していただきたいと思います。地方公務員災害補償基金がすぐには動けないのであれば、都道府県や政令指定都市において必要な条例・規則等を制定し、法改正が行われるまでの間、現在の制度を補完する仕組みを作っていただきたいと思います。
また、児童生徒の安全を教員だけの責任とするのではなく、警備員を配置するなど、行政の責任において実効性のある対策が取られるべきです。中国や韓国では、公立学校に警備員が配置され、学校の安全を守っています。日本では、2001年の附属池田小事件が起きてからも、さすまたが配備されたり、避難訓練の中で不審者対応が取り入れられたりしただけで、子どもの安全は事実上教員に丸投げされています。子どもの安全を本気で守ろうと思えば、予算の投入が不可欠です。
7月27日 県教委・県知事・県議会に署名を提出
2023年7月27日、埼玉県教委・埼玉県知事・埼玉県議会に対し、それまでに集まった本署名を第一次分として提出します。その後、8月末くらいを目処に最終的に提出します。提出の際には、拡声器を使った宣伝も予定しています。宣伝および提出にご参加いただける方は、ts3saitama@gmail.com までお問い合わせください。
請願事項は「児童生徒を守って負傷した教職員への補償を最後まで行うこと」です。ただ、不審者が侵入しないようにするための対策も必要ですので、警備員の配置もあわせて求めていきたいと思います。
団体紹介
この署名を行っている団体は Teachers’ Safety for Students’ Safety(略称TS³)です。冒頭で紹介した埼玉新聞の報道を機に、教職員を中心とする全国の有志で立ち上げました。今のところ9名が参加し、ZoomやLINEなどで連絡を取り合っています。
まずは埼玉から運動を始めますが、全国共通の問題ですので、各地に運動を広げたいと考えています。また、8月には国会議員の方の力も借りながら、文部科学省に対する働きかけなども行いたいと考えています。
私たちは、政党や組合などいかなる団体とも無関係に、手弁当でこの運動に参加しています。思いに共感していただける方の参加・協力はいつでも歓迎します。メールでお問い合わせください。
by hiroseto2004
| 2023-07-24 21:11
| ジェンダー・人権(労働問題)
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