“行方不明” 5年間で71件 「放課後等デイサービス」
2023年 11月 02日
去年、大阪・吹田市の施設で男子中学生が行方不明になり、1週間後に近くの川で亡くなっているのが見つかりました。
NHKが府内の自治体に情報公開請求を行ったところ、施設で子どもが一時、行方不明になったケースは過去5年間であわせて71件に上ることが分かりました。
子どもたちにとって大切な場所でなぜ、行方不明が相次ぐのか。
取材を進めると、国の制度の課題が見えてきました。
1日あたりの定員は10人。
国の規定では障害の程度にかかわらず子ども10人に対して最低2人の職員の配置が義務づけられていますが、この施設では常に5人程度を配置しています。
この施設では重い障害があり、意思の疎通が難しい子どもも多いため、2012年の設立当初から対策に力を入れてきました。
施設内では、気づかないうちに子どもが外に出てしまわないよう、扉が開くとベルが鳴るようにしているほか、2か所ある部屋の出入り口に職員を1人ずつ配置し、常に目を配っています。
さらに、送迎車の乗り降りでは子どもに少なくとも3人の職員が付き添い、道路に飛び出さないよう気を付けています。
しかし、この施設でも3年前、公園で遊んでいたときに、当時7歳の男の子がいなくなったことがあったといいます。
職員が目を離した隙のことでした。
幸い、すぐに見つかりましたが、これを受けて施設では危険に気付くことが難しい子どもについては、職員が1対1で対応するよう改めました。
さらに、吹田市の施設で悠生さんが亡くなったことを受け、ことしからは子どもが行方不明になった場合に備えて、保護者の同意を得た上で顔写真やニックネームなどを警察などと共有する取り組みも始めたということです。
ただ、安全を確保するためには多くの職員が必要で、この施設では厳しい運営を余儀なくされています。
施設の最大の収入源は国や自治体から受け取る報酬ですが、これは主に受け入れる子どもの人数で決まるため、職員を増やすほど運営は赤字になるといいます。
この施設では別の介護サービス事業の収益で補填しているのが実情だということです。