週刊広島瀬戸内新聞ニュース 12/2 深掘り① 湯崎知事、三原本郷産廃問題汚染水流出継続も放置プレイ
2023年 12月 02日
https://youtu.be/o2_6ZdQfkjs
広島2区市民連合様の三原本郷産廃処分場問題についての学習会=「いのちの水を受け継ごう 広島県に水源保全条例を」が12月2日、行われました。住民訴訟の原告団共同代表の岡田和樹さんが講師でした。
岡田和樹様はこの12年間三原市小泉町で有機農業に従事されています。それ以前は中国電力上関原子力発電所反対運動、それ以前は竹原市の「ハチの干潟」保存運動で活躍されています。ハチの干潟は当時の藤田知事に直訴し保存が決まりました。ハチの干潟|観光スポット|竹原市公式観光サイト ひろしま竹原観光ナビ (takeharakankou.jp)
ご自身は、「環境活動家というよりも自分たちの世代が自然を受け継いで子どもたちに渡せるか考えていきたい。」というスタンスだと紹介されました。
この三原本郷産廃処分場は、JAB協同組合が三原市と竹原市の水源地のど真ん中に計画し、2020年に県が許可してしまいました。
岡田さんたちは、安佐南区の上安処分場を運営してきた会社が本郷産廃処分場を作る企業だったので2020年に上安を視察しています。
上安の産廃処分場は1993年に許可を受け、2021年にエクイスという外資系の会社に土地も事業も売却しています。この処分場の場所は安佐動物公園のすぐそばです。
岡田さんたちが視察した時、土管から河川に泡だらけの水が出ていました。安定型処分場は建前では汚染水が発生しないはず。しかし実際には出ています。そして、その汚染水を処理せずにそのまま流していたのです。
家や田んぼがある下流の「イセキ」という場所でも、このように泡を吹く水が流れる惨状でした。
岡田さんたちが水を持ち帰り、外部の調査会社に委託して検査し、水質汚染が発覚。
広島市もあわててJAB協同組合を指導しました。是正されたことになってはいます。
だが今問題となっている不適切盛土の下には産廃がたくさんある状態です。
この上安産廃処分場では、覆土を毎日しないといけないのにしていませんでした。
4mもの産廃がうずたかく露出していたのです。
翻って本郷処分場の下流は三原でも竹原でも8割の水源になっています。
また、土砂災害にも弱く、西日本大水害2018でも亀裂が入り土砂崩れが処分場予定地でも起きています。処分場の真ん中はレッド・ゾーンになっています。
そんな中、この産廃処分場の下流では井戸水で生活している人も多く、また、産廃処分場ができれば23枚もの
たんぼに汚染水が原液のまま流入してしまいます。
そこで、住民が取消裁判と工事差し止めの仮処分申請を行いました。
2021年にいったん、仮処分が認められるが2022年にひっくり返されてしまいます。
そして、工事が秋に再開するも2023年5月には水質の異常が住民らにより確認され、
6月11日には県も汚染水の流出を確認、広島県はJAB協同組合に搬入中止を命じる行政処分を6月29日に
行います。しかし、7月8日にも産廃を堂々と運び込むなど、JAB協同組合に指導を無視されてしまったため
警告を出しました。しかし、7月29日には「改善が見られた」として操業再開を許可してしまいます。
しかし、井戸の水質など、水道水を注入すれば改善されているように見えてしまいます。
そして、汚染水は住民側の調査では現在も確認され続けています。
一方、7月4日の広島地裁での住民裁判の判決では湯崎英彦知事に対して産廃処分場の許可取り消しを命令
しました。しかし、知事は控訴してしまいます。
他方で、三原市議会も竹原市議会も取り消し求める意見書を全会一致で可決し、県知事に提出します。
だが、その後も、汚染水の流出は続きます。県議会の生活保健福祉委員会の視察も行われましたが、
現在も県の動きはほとんどみられないままです。
『(汚染水の調査や原因究明など)本来、政治や行政がしないといけないことを住民がやっている』と
岡田さんは強調します。
三原の住民側は汚染の原因究明や被害住民の救済、
そして、県が最終的に処分場を買い取ること。
水源保護条例を制定することなどを求めています。
水道水源保護条例は1988年に津市などが制定。
水道法のベクトルから「水道の水源の脅威になるような土地利用を制限する」ことを目的に、
津市などは県が許可した産廃処分場を何とか止めようとします。
そして、裁判所にも産廃処分場の操業差止の仮処分を申し立てました。
こうしたことを背景に、1991年に処分場の土地を津市が買い上げることで決着しています。
一方で、環境配慮条例と言って、産廃処分場そのものを対象に環境に配慮するよう求める条例も
あり、広島弁護士会も提案しています。
広島は産廃処分場数は全国3位。
そして、全国でも一番産廃規制が緩いのです。
安定型処分場というのは日本弁護士連合会でも2007年に新規は禁止するよう意見書を出している。
∵安定型5品目しか入れないという建前で素掘りの上に産廃を放り込めるし、排水もそのままで流せる。
実際にはいろいろな付着物があって、汚染が深刻。
原告弁護団長の山田延廣弁護士は、住民訴訟の状況について説明しました。
7月4日の判決では「地下水を巡る広島県知事の調査や審査及び判断の過程に看過しがたい過誤・欠落がある」と認め
処分場の許可取り消しを命令しました。
住民らが上安産廃処分場の廃液を採取し検査したこと、情報公開請求し、審査過程の杜撰さを明確化したこと、
三原市や市議会に対して運動を展開したこと、科学者と連携したことが「勝因」と分析。
しかし、県が控訴したために、現在広島高裁で控訴審となっています。
JAB協同組合が県側で訴訟に参加し、一体となって反撃しています。
しかし、同組合は意見を出すのに時間がかかるなどといって引き延ばし戦術とも
取れる不誠実な対応を取っているそうです。
この日は、上安産廃処分場の地元・安佐南区民も参加し、コメントしました。
それによると、上安産廃処分場を購入したエクイスは福島原発近くにも処分場を購入しており、
福島の放射能汚染土が広島に来ることへの懸念も地元では高まっています。
また、12月1日には、県による盛り土のボーリング調査に坂本裕様ら、住民が立ち会うも、
県の対応に頼りなさを感じたとのことです。
12月1日午後、上安産廃に接する〝不適切盛り土〟のボーリング調査の住民立ち会いがありました。萩原町内会の今中さん、岡島さん、そして地質学者の越智先生、坂本の4人が参加しました。
産廃処分場の事務所で県森林保全課の治山担当監小笠原氏より調査の進展状況の説明を受けた後、処分場から盛り土の法面を下り、3番目のボーリング地点で、機械の動く様子や取り出したコアの様子も観察しました。
越智先生は、コアを観察したところ、通常の盛り土の工法である地山を段切りすることはやらず、そのまま盛り土したように思われると。
3番目のボーリング地点のすぐ東側に、保安林標識が倒れているのが見えました。この標識を倒すような行為は犯罪行為ですが、県は標識をどこに設置したかの記録はしていない、保安林の図面はあるが、等高線の入った正確な図面ではないと。
by hiroseto2004
| 2023-12-02 20:26
| 広島県政(広島県議会)
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