ユダヤ系の米上院民主トップ、事実上のイスラエル政権交代を要求 ガザ対応
2024年 03月 16日
米上院民主党トップのシューマー院内総務は14日、上院議場での演説で、パレスチナ自治区ガザ地区への対応に関してイスラエルのネタニヤフ首相を非難し、新たに総選挙を実施するよう呼び掛けた。ネタニヤフ政権を中東和平の「障害」と評するなど、事実上政権交代を求めたと受け止められる発言だ。共和党からは「明らかに間違っている」(ジョンソン下院議長)などと批判が上がった。
シューマー氏は、民主党の上院議員らを束ねてバイデン政権を支える重鎮。ユダヤ系として最高位の議員で、イスラム組織ハマスが昨年10月にイスラエルに大規模な攻撃をした際は数日後に現地入りするなど、イスラエルを強く支持してきた。しかし、バイデン政権側には、ガザ地区での民間人被害を抑え、人道危機を回避するようネタニヤフ政権に繰り返し求めているにもかかわらず、一向に応じないことへの不満が高まっている。
演説でシューマー氏は、ネタニヤフ氏について「イスラエルの最善の国益よりも自身の政治的な延命を優先させたことにより、道を踏み外した」と指摘。極右勢力と連立を組み、ガザでの民間人の大きな犠牲を受け入れたことで「イスラエルに対する国際社会の支持を歴史的な低さにした」などと強く批判した。
さらに、イスラエル国民は政府のビジョンと方向性に自信を失っているとし、「イスラエルの将来について、健全でオープンな意思決定プロセスを可能にするためには、新たに選挙を行うことが唯一の方法だ」と訴えた。
しかし、同盟国に対する内政干渉とも受け取れる発言に共和党側からは批判が上がった。共和党上院トップのマコネル院内総務は同じ議場で「民主的に選ばれたイスラエルの指導者に退陣を求めるのは、自国の民主主義に対する外国の干渉に過敏に反応する米国人としてはグロテスクで偽善的だ」と批判。複数の米メディアによると、ジョンソン氏も記者団に対し、新たに選挙を実施するよう求めることは「極めて不適切」などと語った。【ワシントン西田進一郎】