「新時代の日本的経営」30年と人口減少&一極集中 週間広島瀬戸内新聞ニュース2024第33週深掘り②
2024年 08月 12日
「新時代の日本的経営」30年と人口減少&一極集中
少子・高齢社会化が進んで久しい日本。
ただ、中華民国、大韓民国、イタリアなど、似たような所得水準の国々と比べれば実は日本の出生率は高い方だ。
ちなみに、米国と比べた場合、例えば広島県の海田町などは米国よりも上である。日本の場合、人口が集中する東京周辺が低くしているといえる。
また、東京都などは、史上初の女性都知事・小池百合子政権の元、子どもがいる世帯への支援としてはかなり充実してきている。(これについては、周辺の神奈川、千葉、埼玉と東京の格差は問題だろう。)ただ、生活費が高く、貧しくて、結婚どころではない若者も東京は多いということだ。
それでも、古臭い地方にとどまるよりは、東京に来た方がいいという方も多い。
■「新時代の日本的経営」と緊縮財政の大罪
むしろ、問題は、中華民国、大韓民国、イタリアなど日本よりも出生率が低い国に比べても、日本の1人当たりの豊かさ、もっといえば、1人当たりの実質賃金が伸びていないということだ。
1994年、日経連が「新時代の日本的経営」の方向性を出してからだ(本として刊行されたのは1995年5月1日だが大まかな方向性は1994年に盛んに報道されていた)。
参考
結局、円高を新分野の開拓や技術開発ではなく、給料カット、人員削減で乗り切ろうとした。ここに問題がある。
日本企業は、技術者を斬りまくった。日本政府は国立大学への予算を渋るようになった。これでは、技術開発も、新機軸も生まれてこない。技術者、科学者が中華人民共和国や大韓民国に流出する結果となった。
そして、最近になって「経済安全保障」と騒ぐ有様だ。これとて、実は、英仏でも廃止されているような規制を日本が時代遅れで導入。
技術を持っている企業や、科学者、技術者を委縮させ、さらなる海外流出を促進しかねない事態になっている。
また、住民の暮らし・安全・安心を現場で支える公務員を減らしまくって非正規に置き換えた。
民間が不景気なら公務員をむしろ増やすべきだったのに、逆をやってしまい、就職氷河期世代を発生させたということもある。非正規公務員では食っていけない。不安定。これではダメだということで、人材確保に苦労している。
一つは、少子化で人口が減るからということで正規公務員を減らした面もあるが、それが、特に地方では、また、さらなる人口減につながる悪循環だ。
こうしたことが、総合され、実質賃金が上がらない日本になっている。
■公務員バッシングから高齢者バッシングへ?
最近では、一時期の公務員バッシングはさすがに影を潜め、石丸伸二・前安芸高田市長のように高齢者を叩いてウケる政治家も増えた。
ただ、今の高齢者は、例えば70代以上の単身女性の半数以上が働いているという状況だ。実際に、コンビニや各種派遣労働者など、高齢者は非常に多い。孫育て等でも大変だ。
恵まれている高齢者というのも、実は20-30年前の話だったのだが、アップデートされないまま、叩かれている面もある。
そもそも、高齢者も消費をするから経済が回っている面がある。高齢者の需要がなくなればさらに経済は縮小するだけだ。
結局、本丸である「実質賃金が上がらない」状況に切り込まないとどうしようもない。にっちもさっちもいかない。外国人労働者をもっといれればいいという、無責任な発言をする政治家もいるが、日本人もしたがらない仕事を外国人がするはずがない。
この状況を是正するための真水の財政出動ならまだまだ必要だ。いわゆる中抜きなしのだ。もちろん、円安の副作用はある。
しかし、先日の利上げは勇み足だった。米国の利下げを待っておくべきだったろう。
■地方で地道に頑張る若手・中堅の意思決定過程参画を!
なお、石丸伸二さんが受けた背景には、地方では成功体験に囚われた年配者にブロックされ、若手・女性の意見が通りにくいという問題は確かにある。
年配者が経済的に優遇されているというより、意見がブロックされている問題はある。
一方で、東京から来た怪しげな?意識高い系の若手・女性には飛びついて、逆にひどい結果になる場合も地方自治体にはある。
実際に若い女性のハンターの団体に補助金を出したら、その団体が行方不明になった事件も起きている。
広島県では、湯崎英彦知事肝いりの平川理恵前教育長が部下に罪を擦り付ける形(本人は不起訴)で官製談合事件などで広島の教育を荒らし、去っていった。
こんな構造で結局、割を食うのは、地元で地道に頑張っているタイプの若手・中堅だ。
石丸さんの場合は、地元で頑張っているタイプの若手・中堅にも反感を買ってしまい、広島にはいづらくなって東京に行ったというところだろう。年配者を叩くことに前のめりになると、進むものも進まない。
地方への人口の適度な分散は、大都市のための原発や大型火力、山を壊してまでのメガソーラーなどではなく地域密着型の再生可能エネルギーに転換することにもつながる。
ただ、そのためには、思い切った地方への財源移譲、そして、政府機関の移転などが必要だろう。国会等移転に関する法律が根拠法となる。
■神戸市のタワマン規制に注目
また、日本は人口が減ることによる恩恵を活かしていないともいえる。
まだ、新規土地開発や上への開発、すなわちタワマン開発が続いている。
むしろ、今後は、1人当たりの土地の広さが増えるということを活かす方向へ転換すべきだろう。
神戸市では、都心部での新規タワマン建設を禁止した。これはこれで人口減少時代の一つの見識だと思う。
1.実質賃金・可処分所得が上がる方向での政策
・基礎研究・技術開発への投資
・教育費負担軽減など。東京都任せにせずに国が責任を!
・正規公務員への置き換え、ケア労働者などの抜本的な待遇改善。
2.人口の地方への適度な分散。
・地方への財源の移譲(権限はかなり委譲されていた。)
・国会等の移転促進に関する法律の遵守。
・地方で地道に頑張っている若手・中堅の意思決定過程への 参画促進。
・第一次産業への所得保障・価格保障。
3.人口減少をゆとりに変換する政策。
・新規土地開発の規制
・大都市においてはタワマン規制
■楾大樹先生「檻の中のライオン」講演会WITHお好み焼き
広島県前教育長の官製談合。兵庫県知事の留まるところを知らぬ不祥事。そして鹿児島県警本部長による事件隠ぺい疑惑。
権力を持つ人による暴走のニュースが相次いでいます。
こうしたことを防ぐにはどうすればいいのか?
権力のある人をライオンにたとえ、対処法を皆様に全国1000か所でお話ししてこられた弁護士の楾大樹先生。
著書「檻の中のライオン」は2024年の高卒認定試験にも出題されました。
今回は、お住いの地元・祇園でお好み焼きを交えながら、楾大樹先生のお話をうかがいませんか?
お待ちしております。
日時 8月31日(土)12時-15時
場所 鉄板焼き居酒屋じゅげむ 広島市安佐南区祇園2-2-2
料金 2500円(クリアファイル、お好み焼き、ウーロン茶付)
楾大樹先生の「檻の中のライオン」講演会を「じゅげむ」にて開催予定です。お好み焼き+ウーロン茶+クリアファイル付きです。お待ちしております!
ビールなども飲んでも構いませんが(笑)、それは別料金です。人数確認の必要があるため、お申し込みは8月27日(火)までに佐藤まで。
090-3171-4437 hiroseto2004@yahoo.co.jp
by hiroseto2004
| 2024-08-12 11:06
| 経済・財政・金融
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