【緊急署名】「高額療養費制度引き上げ反対」石破首相・福岡厚生労働大臣にがんや難病患者・家族の切実な声を届けたい
2025年 02月 05日
「【緊急署名】「高額療養費制度引き上げ反対」石破首相・福岡厚生労働大臣にがんや難病患者・家族の切実な声を届けたい」 https://chng.it/wBJQTvpftP @change_jpより
■この緊急署名で皆さまにお願いしたいこと
この緊急署名では、高額療養費の負担上限額の引き上げについて政府に対し
- 「高額療養費の負担上限額引き上げ」を見直すこと
- がんや難病などの患者・家族の切実な声を、石破首相・福岡厚生労働大臣に届けること
の2点を求めます。賛同フォームにて「お名前」「メールアドレス」の2点を入力して「今すぐ賛同」ボタンをクリックしてください。メールアドレスの認証のためのメールが送られますので、認証すれば署名完了となります。
■この緊急署名の背景
2024年12月、2025年度予算案に関する厚生労働大臣と財務大臣との折衝において、医療費が高額になった場合に患者の自己負担額を抑える「高額療養費制度」について、2025年8月から2027年8月にかけて3段階で、ひと月あたりの負担上限額を引き上げることが決まりました。
例えば、年収約700万円の場合、年間手取り額は約529万円、ひと月手取り額は約44万円で、現在の高額療養費の月あたり上限額は「80,100円+1%」のところ、2027年8月からは「138,600円+1%」となり、大幅な引き上げが予定されています。
現役世代の中には、仕事や日常生活を続けながらぎりぎりの範囲で医療費を毎月支払い続けている患者とその家族もいます。負担上限額引き上げは、高額療養費制度の負担上限額まで支払っているがんや難病の患者とその家族、特に「長期にわたって継続して治療を受けている患者とその家族」にとっては、多数回該当となっても生活が成り立たなくなる、あるいは治療の継続を断念しなければならなくなる可能性が危惧されます。
全国がん患者団体連合会では2025年1月17日から19日の3日間、オンラインでアンケートを実施し、3,000名を超える皆さまから切実なメッセージを多数いただきました。その一部を紹介します。
【女性・20代・がん患者】
スキルス胃がん患者です。小さな子どもがおり、この子を遺して死ねません。高額療養費制度を使っていますが、支払いは苦しいです。家族に申し訳ないです。引き上げされることを知り泣きました。スキルス胃がんは治らないみたいです。私はいずれ死ぬのでしょうが、子どものために少しでも長く生きたい。毎月さらに多くの医療費を支払うことはできません。死ぬことを受け入れ、子どもの将来のためにお金を少しでも残す方がいいのか追い詰められています。
【女性・30代・がん患者】
高額療養費制度の負担上限額引き上げに反対します。私は急性骨髄性白血病患者です。現在傷病休業中で傷病手当金を受給しています。夫と子ども1人と生活しています。35歳で罹患し約8ヶ月の入院、退院して月2回の通院を現在も続けています。その間にかかる医療費は毎回高額療養費上限まで使用しています。あくまで健康保険の使用出来る範囲では高額療養費制度のお陰で出費は抑えられていますが自費負担金が他にもあることをお忘れにならないでください。これ以上医療費が高額になると治療を諦める、命を諦める患者が増えるのは確実です。私たちを殺さないでください。生きることを諦めさせないでください。
【女性・40代・がん患者】
絶対に反対です。私は乳癌骨転移ステージ4で、エンドレスの抗がん剤治療を行っています。治療に終わりはなく、治療費はとてつもなく高額で、今の時点で経済的に切迫しています。私には2人の小学生がいますがこれから学費や子供達の将来にかかるであろう未来を想像すると不安しかありません。このまま限度額が引き上げられたら、私を含め癌患者や重い病気を患っている人達は、生きるための必要な治療を諦めるしかありません、生活が成り立たないのですから。生きたくても生きれない、治療を受けたくても受けられない世の中にしないでください、引き上げに断固反対です。
このような多くの切実な声があるにもかかわらず、2025年1月28日に開催された衆議院本会議で、高額療養費の負担上限額引き上げの見直しを求める野党からの質問に対し、石破首相は「経済的負担に十分配慮をいたしております」「引き続き見直しの趣旨内容について説明を尽くしてまいります」などと「ゼロ回答」でした。残念ながら石破首相には、がんや難病などの患者・家族の切実な声が届いていません。
そこで、全国がん患者団体連合会(全がん連)、日本難病・疾病団体協議会(JPA)、慢性骨髄性白血病患者・家族いずみの会と合同で、「高額療養費の負担上限額引き上げを見直すこと」「がんや難病などの患者・家族の切実な声を石破首相・福岡厚生労働大臣に届けること」を求め、今回の緊急署名活動を行うことにいたしました。
■がん治療の現状と患者の経済的負担について
高額療養費制度の負担上限額引き上げに関して、そもそもがん治療の現状が十分に伝わっていないと感じることが多いので、乳がんを例にがん治療の現状について記します。
日本人のがん罹患者数は、全体としては男性が多いですが、20代~40代では女性が男性の2倍以上の罹患者数であり、乳がんも若年で発症し得るがんの一つです。「乳がん」といってもその原因となる遺伝子は様々ですので、現在は原因となる遺伝子を検査して、その遺伝子にあった治療薬を投与する「ゲノム医療」が主流になっています。
例えば「HR(ホルモン受容体)陽性でHER2陰性の進行乳がん患者さん」(乳がんの中で患者数の最も多いタイプ)で日本人患者さんに対して、「プラセボ(偽薬)+アリミデックス」と「ベージニオ+アリミデックス」を比較する臨床試験が行われ、 「ベージニオ+アリミデックス」はPFS(無増悪生存期間、がんが進行せず安定した状態の期間)をおよそ2倍(29.1ヶ月)にしました。
この臨床試験の結果を受けて、現在の「HR陽性でHER2陰性の進行乳がん患者さん」に対する標準治療は「ベージニオ+アリミデックス併用療法」となっていますが、この治療は「乳がんが増悪するまで連日投与」となります。PFSはおよそ2年以上あるので、この期間はずっと毎日、乳がんが進行するまで、1日1回経口投与(飲み続ける)ということになります。
そしてこのCDK4/6阻害剤である「ベージニオ」(一般名アベマシクリブ)の1ヶ月当たりの薬価はおよそ50万円、3割負担であれば自己負担はおよそ15万となります。これに対して、セーフティネットである高額療養費とその多数回該当などの制度があるわけですが、それでも毎月支払い続けることになりますので、患者さんの負担は少なくはありません。
差額ベッド代や食事代、先進医療などは高額療養費の対象外ですし、生活費もかかります。仕事を休職したり退職したりすると収入は減りますが、高額療養費は前年または前々年、すなわち病気になる前の所得に基づいて負担上限額の所得区分が判定されるので、患者さんの負担は想像以上に大きいものとなります。
終わりなくがん薬物療法を受けている状態のことを「エンドレスケモ」と言う患者さんもいますし、治療費を稼ぐために働いていると言う患者さんもいます。一方で、治療によってがんの進行が抑えられ、仕事や日常生活を過ごしている患者さんもいますし、そういう日々を1日1日大切に過ごしている患者さんもいます。
こういった現状を受けて、現役世代にとってもセーフティネットである高額療養費制度について、全国がん患者団体連合会(全がん連)では特に「長期にわたって継続して治療を受けている患者とその世帯」の月単位の上限額の引き上げについては、負担上限額引き上げの軽減および影響を緩和する方策について特段の配慮を行うよう要望しています。
■「賛同者からのコメント欄」についての注意喚起(追記)
「賛同者からのコメント欄」などにおいて「外国人や高齢者など、特定の属性に属する方々に対する差別的表現があるのではないか」とのご指摘をいただきました。コメント等を記載いただく場合には、特定の属性に属する方々に対する差別的表現は控えていただきますよう、お願い申し上げます。
■この緊急署名の呼びかけ団体(順不同)
全国がん患者団体連合会(全がん連)
日本難病・疾病団体協議会(JPA)
慢性骨髄性白血病患者・家族の会いずみの会
■この緊急署名の賛同人(順不同)
麻倉未稀さん(歌手、乳がん経験者)
木山裕策さん(歌手、甲状腺乳頭がん経験者)
秋野暢子さん(女優、食道がん経験者)
庄野真代さん(シンガー・ソングライター、悪性リンパ腫経験者)
原千晶さん(タレント・婦人科がん患者会よつばの会代表)
友寄蓮さん(モデル、白血病経験者)