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庶民派知事で何があっても心配いらない広島を ヒロシマ庶民革命


by hiroseto2004

財務省解体で問題は解決するのか?新自由主義の是正へ冷静な議論を


財務省解体デモが各地で盛り上がっています。
これまでの緊縮財政が日本国民の暮らしを苦しめてきた。その責任は財務省にある。
解体すべきだ。
こうした趣旨です。
日本国憲法には集会の自由があり、こうしたデモに参加する皆様の志もリスペクトします。
だが、それを前提としても、少し疑問があるのです。
冒頭にご紹介した「動画撮影」のバイトを募集する「クラウドワークス」。
東京都民の皆様。兵庫県民の皆様。どこかで見たことがありませんか?
そう。このサイトは、東京都知事選挙2024で下馬評を覆す大健闘をした石丸伸二さんや
斎藤元彦・兵庫県知事、さらには立花孝志さんの動画撮影のバイトも募集していたサイトです。
おおざっぱに言えば、新自由主義者を持ち上げる動画撮影を募集しているのです。

筆者は、1990年代後半以降のいわゆる失われた30年を憂える点では財務省解体デモの
皆様と共通の認識を持っています。また、いわゆる真水部分の財政出動はすべきと言う面でも
共通です。

しかし、です。財務省にその怒りをぶつけることが妥当でしょうか?

◆「官僚主導」は終わって久しい
 よく、日本について、官僚主導国家だ!と言う批判は、1990年代頃からずっとされてきました。
確かに、1990年代~2012年くらいまではそれが妥当したと筆者も考えています。
 2009年に成立した民主党政権も、官僚のサボタージュに苦しめられたのも事実でしょう。
いわゆる事業仕分けも、結局、財務省主導になってしまいました。
 外交の面でも、オバマを最初に広島に呼ぼうとしたのは民主党政権の時だったが、外務省に潰された
という話もあります。
 かくて、民主党政権は、3年余りで崩壊。安倍晋三さんが再登板することになります。この安倍晋三さん
の時に、官僚主導が終焉するのです。
 その何よりの証拠は、東大生で官僚になる人が激減していることです。今どきの東大生は官僚ではなく
外資系大手企業を目指しています。
大きな理由は【政治主導】です。それを感知して、東大生の官僚離れも進んでいます。
2014年に〈内閣人事局〉が発足。これにより官僚の人事を官邸が握るようになるのです。
安倍晋三さんとその取り巻きの政治家や経済人、学者などが、政策決定を主導するように
なりました。
政治主導は、これは民主党政権がめざしていたことですが皮肉にも安倍晋三政権2.0で
実現したのです。

◆森友問題は財務省ではなく政治が震源地
 財務省を巡る問題としては森友学園を巡る疑惑があります。非常に真面目な官僚だった
赤木俊夫さんが自死に追い込まれてしまう痛ましい結果になりました。赤木雅子さんが国を訴えた
ところ、あっさり国は認諾してしまった。それだけ明らかにされたくない真相が国にあったわけです。
この疑惑の震源地は官僚機構ではなく、安倍昭恵さんであったのはどう見ても明らかです。
それを受けて、夫の晋三さんや当時の麻生財務大臣が何をしたか?晋三さんが亡くなった今となっては、
明らかにするすべもありませんが、官僚機構が主導したわけではないのは誰が見ても明らかです。
仮定法過去として、2017年当時に財務省が解体されていたとしても、国有地を所管する別の官庁を舞台
に悲劇が起きただけでしょう。

◆財務省の庶民感覚のなさは明白だが
財務省の庶民感覚のなさはもちろん、明白です。例えば、財務省は、要介護1,2の人対象の介護保険の訪問介護を
介護保険から外すことをずっと画策してきました。
しかし、そもそも、人工透析患者などは、介護度が低くてもその日はしんどくて動けない。だから、生活支援などの訪問介護サービスが必要なのです。介護保険から要介護1,2の人を外してしまえば、それこそ、ご家族の負担が増える。ヤングケアラー、
ビジネスケアラー問題が深刻になりかねません。
しかし、ネット上で財務省解体を叫んでいる人たちの中にも例えば「日本は高齢者優遇だから医療・介護を削ればいい」などの
暴論が目立ちます。
あるいは、「教育無償化はとんでもない。そんな金があるなら減税を!」「貧乏人は大学に行かずに就職を!」
と言う人もおられる。
いや、教育無償化は、日本も国際人権A規約に入り、同意しているわけです。
財務省は酷いが、その解体を叫ぶ人たちの中にも「他人の痛みについて何もわかっちゃいない」人が多くおられるのです。
むろん、定員割れしまくっている大学も多い。私立高校まで無償化することで公立高校の衰退につながり、地方の庶民の選択肢がなくなる危険もある。そのあたりの細かい議論は必要です。しかし、「貧乏人は大学に行かずに就職を!」は乱暴すぎる。

◆ここ30年の新自由主義の弊害をどう是正するかの冷静な議論を
 1995年、新時代の日本的経営が当時の日経連から出ました。この指針に基づき、大手企業は正社員を押さえて非正規を増やしまくりました。円高だった当時、人を斬ることで、窮地を逃れようとしたのです。だが、これが大きな禍根を残しているのです。
技術が伝承されない。ベテラン技術者は中国や韓国へ行き、日本のライバルを育てる。人件費カットに依存し、新技術開発や新機軸の打ち出しがおろそかになった。
 消費税増税と表裏一体の法人税の減税も裏目に出ました。設備投資、人材投資を減らす結果になったとも言えます。法人税率が今より高かった昔なら、「税金で取られるなら設備投資」「ボーナスアップ」ということがあったのです。
 これらもすべて財務省「だけ」が原因でしょうか?そうではないでしょう。
 また、地方では市町村合併に伴い、現場職員が大幅に減らされた。そのあおりは就職氷河期世代が食らいました。
民間が不景気なら公務員を増やすというのも経済運営の鉄則です。これも財務省だけの責任でしょうか?
むしろ、公務員を減らすというのは、マスメディアや、今の立憲民主党の先輩に当たる旧民主党の十八番の
主張でもあったのです。民主党自体、政権を取った後に起きた東日本大震災にあたって、復興財源の捻出のために
公務員給料をカットし、また採用も減らした。これも同党にとっては痛恨の敗着でした。
 現場公務員は震災復興や他県からの支援活動でてんてこ舞いなのに、給料も人員も減らされてはたまったものではない。
こうしたこの30年間の新自由主義政治そのものをきちんと総括し、その是正をしていく。そういう冷静な議論が必要ではないでしょうか?
 財務省解体デモの皆様の志自体は否定しません。だが、このままでは、問題の解決からむしろ遠のいていくのではないか?
そう懸念する次第です。
 なお、財務省自体は、収入と支出、両方を差配しているのは諸外国と比べて権限が大きすぎるのも事実です。
これについては、歳入庁の創設と言う方向で良いのではないでしょうか?
 















by hiroseto2004 | 2025-03-17 13:01 | 経済・財政・金融 | Trackback