国際女性デーに寄せて ―象徴の女性登用ではなく、現場の女性を支える政治へ―
2026年 03月 07日
国際女性デーに寄せて―象徴の女性登用ではなく、現場の女性を支える政治へ― https://www.youtube.com/live/EXomGZqGiUs?si=35ctGjErXtpov888 @YouTubeより
国際女性デーに寄せて
―象徴の女性登用ではなく、現場の女性を支える政治へ―
国際女性デーを迎えた。日本でも女性リーダーの登用が進み、総理や広島県知事に女性が就く時代になった。だが、象徴的な人事が進む一方で、社会の深層に横たわる構造的な問題は依然として手つかずのままだ。
政治の現場では、女性候補や女性議員が「男性の偉い人」によって使い捨てにされるような場面を、筆者はこれまでの活動の中で何度も見てきた。野党も例外ではない。女性幹部に対し、まるで“象徴”として「実質的な発言をしないこと」を期待する空気が漂うことすらある。女性を飾りにし、実権を与えない古い政治文化が温存されている。
行政の現場にも、別の形で歪みがある。県庁や市役所では、都会的で華やかな経歴を持つ女性を重んじる一方、地元で地道に働き続ける女性を軽んじてはいないか。広島は全国でも女性の教育水準が高い。それにもかかわらず、地元女性の力を正当に評価できないのであれば、人口流出が止まらないのは当然だ。島根県が“たたき上げ”の女性を副知事に登用したように、地域の現場を知る女性を積極的に登用する工夫が求められる。
🟣 現場で見た「女性の仕事」の軽視
筆者は広島県庁職員として、県内の山間部や島しょ部の介護保険行政を担当した経験がある。介護の現場で働く方々は、圧倒的に女性が多い。どの地域でも、彼女たちは誇りと使命感を持ち、地域の高齢者を支えていた。
しかし、事業者指導の際に給与台帳を見せてもらったとき、筆者は絶句した。
あまりに低い。これで生活できるのか。これで家庭を支えられるのか。
そして20年が経ち、答えは明らかになった。
大丈夫ではなかった。
低賃金と過酷な労働環境に耐えきれず、現場を去る人が後を絶たない。人手不足はさらに負担を増やし、残った職員の心身を追い詰める。外国人材を受け入れても、待遇の悪さから他業種へ流れていく。
「やりがい搾取」が現場を崩壊させている。
これは介護だけの話ではない。
保育、教育、福祉――いずれも女性が多く、専門性が高いにもかかわらず、歴史的に「女性の仕事」として軽んじられてきた分野だ。
🟣 行政の内部でも続く「見えない使い捨て」
行政も同じ構造を抱えている。
国の緊縮財政や市町村合併の推進で正規公務員が削られる一方、住民の悩みや困難は複雑化し、行政需要は増える。その穴を埋めるために、自治体は非正規公務員を増やしてきた。
しかし、非正規公務員は民間の労基法の保護も、正規公務員の身分保障も十分に受けられない“谷間”に置かれている。筆者は2006年頃から、非正規公務員の裁判闘争を支援してきたが、待遇の低さ、雇用の不安定さ、そして職場での孤立は深刻だった。
2020年に導入された会計年度任用職員制度は「待遇改善」を掲げたが、実際には3年・5年での雇い止めが各地で発生し、雇用継続を盾にしたハラスメントも報告されている。
制度が“安定”ではなく“使い捨て”を強化してしまった面すらある。
🟣 国際女性デーは「現場の女性」を思い出す日である
国際女性デーは、単なる祝祭日ではない。
女性の権利と尊厳を守るために、社会の構造そのものを問い直す日だ。
象徴的な女性登用だけでは、現場の女性たちの苦しみは解消されない。
地域で働く女性、非正規で支える女性、ケアの現場を担う女性――その声にこそ、政治と行政は耳を傾けるべきである。
政府は三年に一度の処遇改善ではなく、前倒しの報酬引き上げを確実に実施すべきだ。
さらに、女性が多い医療や介護の職場で横行するペイハラへの対策も急務である。
🟣 「女性が活躍する社会」を本気で実現するために
必要なのは、
“象徴の女性”ではなく、“現場の女性”を支える政治
である。
国際女性デーにあたり、私たちはこの国の根底にある構造的な問題を直視し、変革への一歩を踏み出すべきだ。
by hiroseto2004
| 2026-03-07 16:58
| ジェンダー・人権(労働問題)
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