東洋経済の素晴らしい提起
2008年 01月 09日
「東洋経済」の特集号は、「格差なき成長は可能だ!」という題で、北欧についての大変詳しい取材と解説をしています。
格差は拡大するわ、経済成長はないわ、の最悪な状態の日本と対照的に格差は小さくて成長する北欧諸国を取り上げたことは注目できます。
日本が直面する課題にこう対応している、ということで、教育や高齢化さらに男女平等まで幅広く取り上げています。
高福祉高負担についても負担率が高い国ほど生活の質が高い、というグラフまで出しています。
また男女共同参画については、三井マリ子さんの「女性が活躍できない社会は人的資源の半分を無駄にしている」というコメントを取り上げています。記事は女性議員率など意志決定への参画比率が高いことを評価、具体策がなかなかない日本も最後にちくりと批判しています。
今、経団連会長の御手洗さんも、ご自分のしたことへの反省はないものの、年頭のビジョンで、国民所得を引き上げて格差を是正することは表明せざるをえなくなっています。
そんな時代状況にぴったりの記事です。
そもそも、長期には格差を維持したままの成長こそ、無理です。
アメリカみたいにしまいに低所得者に金を貸して家でも買わせないと無理です。
しかし、アメリカは大変特殊です。アメリカの場合は、世界一の軍事力を使い経済にテコ入れできるのです。しかし、今やそれもイラクでもアフガニスタンでも敗色濃厚で、行き詰まりつつあります。
日本は、ネオコン(=日本版文化大革命派)が政治や官僚での実権を握り、階級格差を加速的に拡大しだしてから、成長がとまったと考えます。
さて、この記事はつい最近までの日本の論壇の不毛な状況に石を投じました。
表面上、男女共同参画を進めるふりをして、あるいは911総選挙で、「田舎のセクハラオヤジをやっつける振り」をして馬鹿受けした小泉純一郎さん。
だが、実際は深刻な階級格差固定化をした小泉純一郎さん。
そしてそれを支持した知識人。いわば彼ら、彼女らは、「日本版文化大革命派」です。
一方、格差拡大やアメリカ従属化を憂えるあまり、小泉純一郎さんを憎むあまり、男女平等まで否定して、平沼赳夫さんなどを持ち上げる人もちらほらおられました。彼ら、彼女らは、小泉さんも批判したが、主要な矛先を男女平等施策に向けてしまった。
この方々は、乱暴にいえば、昔の階級格差は小さくて男女不平等な「日本型社民主義」の方がマシじゃないかというご意見です。
「小泉の野郎、男女平等というが女性をはたらかせて全体の賃金を下げただけじゃねえか?」
右翼ばかりか左翼の方からさえもブラックジョークではあるがそんな話を伺うこともあります。気持ちは分からないではないが不毛です。
なぜなら、女性差別を温存する方便として非正規雇用が拡大したわけです。会社は「この人たちはパートだから、出世させなくても違反じゃありません。」としたわけで、それが、今のワーキングプア問題の元凶です。昔に戻せばいいという話ではない。
また、男性の正社員に激務と引き換えの高い給料を渡し、福祉は会社が面倒を見るという戦後のシステムもすっかり破壊されている。与党=業界も野党=労働組合も暗黙の前提にしてきたシステムですが、シングルマザーやフリーターがこぼれ落ち、さらに、今は家族も単身の人が多くなり、機能しなくなっています。
もう、社会で助け合う仕組みが必要なのです。
結局、ネオリベラルか、復古主義か、どちらかだけの選択肢では不毛です。
安倍さんは、最悪でした。小泉さんら「ネオリベラル」と、郵政造反でのちに復党した「日本型社民主義回帰派」の間で日和見しました。
その結果、自民党の政策は「日本型社民主義の古臭さい部分」だけと「日本版文化大革命派の階級格差拡大」を併せた最悪な状況にした。
あるいはこのままいけば、アメリカの冷酷さと北朝鮮の強権主義を併せた最悪の国になるところでしたが、さすがに日本人の良識により参院選で安倍さんは「KO負け」しました。
小泉的な格差拡大のネオリベ・ネオコンは破綻した。
一方で「日本型社民主義」の焼き直し(男女平等否定だけが前に出ればバックラッシュ)は、日本の伝統的な地域社会が小泉さんにより破壊された以上、復活は難しいのです。
この記事の「格差なき成長が可能」、というタイトルにプラスするとすれば、「格差拡大なき多様性は可能」というテーゼでしょう。
多様性と貧困撲滅と成長の両立という「第三の道」が可能ではないか?
こういうことを経済雑誌が問題提起したのが大きいと考えます。
記事へのご意見・ご感想はこちらへどうぞ!
なるほど!と思ったら下をクリックお願いします!
人気blogランキングへ
格差は拡大するわ、経済成長はないわ、の最悪な状態の日本と対照的に格差は小さくて成長する北欧諸国を取り上げたことは注目できます。
日本が直面する課題にこう対応している、ということで、教育や高齢化さらに男女平等まで幅広く取り上げています。
高福祉高負担についても負担率が高い国ほど生活の質が高い、というグラフまで出しています。
また男女共同参画については、三井マリ子さんの「女性が活躍できない社会は人的資源の半分を無駄にしている」というコメントを取り上げています。記事は女性議員率など意志決定への参画比率が高いことを評価、具体策がなかなかない日本も最後にちくりと批判しています。
今、経団連会長の御手洗さんも、ご自分のしたことへの反省はないものの、年頭のビジョンで、国民所得を引き上げて格差を是正することは表明せざるをえなくなっています。
そんな時代状況にぴったりの記事です。
そもそも、長期には格差を維持したままの成長こそ、無理です。
アメリカみたいにしまいに低所得者に金を貸して家でも買わせないと無理です。
しかし、アメリカは大変特殊です。アメリカの場合は、世界一の軍事力を使い経済にテコ入れできるのです。しかし、今やそれもイラクでもアフガニスタンでも敗色濃厚で、行き詰まりつつあります。
日本は、ネオコン(=日本版文化大革命派)が政治や官僚での実権を握り、階級格差を加速的に拡大しだしてから、成長がとまったと考えます。
さて、この記事はつい最近までの日本の論壇の不毛な状況に石を投じました。
表面上、男女共同参画を進めるふりをして、あるいは911総選挙で、「田舎のセクハラオヤジをやっつける振り」をして馬鹿受けした小泉純一郎さん。
だが、実際は深刻な階級格差固定化をした小泉純一郎さん。
そしてそれを支持した知識人。いわば彼ら、彼女らは、「日本版文化大革命派」です。
一方、格差拡大やアメリカ従属化を憂えるあまり、小泉純一郎さんを憎むあまり、男女平等まで否定して、平沼赳夫さんなどを持ち上げる人もちらほらおられました。彼ら、彼女らは、小泉さんも批判したが、主要な矛先を男女平等施策に向けてしまった。
この方々は、乱暴にいえば、昔の階級格差は小さくて男女不平等な「日本型社民主義」の方がマシじゃないかというご意見です。
「小泉の野郎、男女平等というが女性をはたらかせて全体の賃金を下げただけじゃねえか?」
右翼ばかりか左翼の方からさえもブラックジョークではあるがそんな話を伺うこともあります。気持ちは分からないではないが不毛です。
なぜなら、女性差別を温存する方便として非正規雇用が拡大したわけです。会社は「この人たちはパートだから、出世させなくても違反じゃありません。」としたわけで、それが、今のワーキングプア問題の元凶です。昔に戻せばいいという話ではない。
また、男性の正社員に激務と引き換えの高い給料を渡し、福祉は会社が面倒を見るという戦後のシステムもすっかり破壊されている。与党=業界も野党=労働組合も暗黙の前提にしてきたシステムですが、シングルマザーやフリーターがこぼれ落ち、さらに、今は家族も単身の人が多くなり、機能しなくなっています。
もう、社会で助け合う仕組みが必要なのです。
結局、ネオリベラルか、復古主義か、どちらかだけの選択肢では不毛です。
安倍さんは、最悪でした。小泉さんら「ネオリベラル」と、郵政造反でのちに復党した「日本型社民主義回帰派」の間で日和見しました。
その結果、自民党の政策は「日本型社民主義の古臭さい部分」だけと「日本版文化大革命派の階級格差拡大」を併せた最悪な状況にした。
あるいはこのままいけば、アメリカの冷酷さと北朝鮮の強権主義を併せた最悪の国になるところでしたが、さすがに日本人の良識により参院選で安倍さんは「KO負け」しました。
小泉的な格差拡大のネオリベ・ネオコンは破綻した。
一方で「日本型社民主義」の焼き直し(男女平等否定だけが前に出ればバックラッシュ)は、日本の伝統的な地域社会が小泉さんにより破壊された以上、復活は難しいのです。
この記事の「格差なき成長が可能」、というタイトルにプラスするとすれば、「格差拡大なき多様性は可能」というテーゼでしょう。
多様性と貧困撲滅と成長の両立という「第三の道」が可能ではないか?
こういうことを経済雑誌が問題提起したのが大きいと考えます。
記事へのご意見・ご感想はこちらへどうぞ!
なるほど!と思ったら下をクリックお願いします!
人気blogランキングへ
Tracked
from きまぐれな日々
at 2008-01-10 07:29
タイトル : 週刊「東洋経済」の特集 "「北欧」はここまでやる" のご紹介
狭い世界で馴れ合っているブログ界の沈滞ムードをよそに、世界の変化のめまぐるしさはますます加速する一方だ。たとえば、昨日の朝刊はアメリカ大統領選の民主党候補者争いにおけるバラク・オバマの勢いを報じてぎ..... more
狭い世界で馴れ合っているブログ界の沈滞ムードをよそに、世界の変化のめまぐるしさはますます加速する一方だ。たとえば、昨日の朝刊はアメリカ大統領選の民主党候補者争いにおけるバラク・オバマの勢いを報じてぎ..... more
by hiroseto2004
| 2008-01-09 18:36
| 新しい政治をめざして
|
Trackback(1)