岩国市長選挙の構図
2008年 02月 03日
「参加型」対「組織型プラス劇場型」岩国市長選挙の構図
岩国市長選挙は、前市長の井原勝介さんと、前自民党衆院議員の福田良彦さんのお二人が立候補しています。
http://www.janjan.jp/government/0802/0802020060/1.php
筆者はここ数年、「国に対して物申す」井原勝介さんを応援する立場で、岩国市に何度も入っています。
井原さんご自身は、基地そのものには反対ではありません。そのことは何度も明言されています。
しかし「米軍再編による艦載機移転」については「市民のため真剣に考えれば考えるほど、納得できない」という姿勢です。
「喧嘩をしているつもりはない。市民の安全・安心を守りたい。国と直談判したい」というのが井原さんのご主張です。
そもそも、市民の間でも「基地は市内最大の企業」という声が強い。
私が3日に乗車した男性タクシー運転手(60)も、「川下地区に六十年住んで自分の両親もベース(基地)に勤務していた。ベースが支えたのも事実。」と複雑な心境をのぞかせました。
しかし、国が三年前に艦載機の移転を市民にことわりなく決めたことで市民の怒りが爆発しました。
2006年3月の住民投票での「艦載機受け入れノー」が多数を占め、さらに合併に伴う市長選挙でも井原勝介さんが圧勝しました。
だが、みなさんも報道でご承知の通り、2006年末、国(当時の防衛次官・守屋武昌被告)は岩国市への市庁舎建設への補助金をカット。
これは1997年に普天間の空中給油機を当時の貴船市長が受け入れたことへの見返りであり、米軍再編と関係ないのです。
が守屋被告は、「兵糧攻め」を開始。
市議たちも次々「容認」に寝返り、2007年は予算が4回否決された。そこで年末に井原市長は辞職し、予算を修正の末、通してもらうとともに民意をとうことにしたのです。
◇参加型民主主義の井原さん
1999年に初当選した井原さんの一貫した理想は「岩国を民主主義のモデルにしたい」ということです。
左翼でも右翼でもなく、労働省の官僚ご出身です。民主主義を徹底したいというお考えです。
実際にもその理念は活かされます。市民会議を設け、市民とともに歩む市政を展開。
合併前に町村だった地域からも、「ふつうの人」を委員に選ぶなどなるべく、「公平」にしよう「市民の声を市政に」と苦心しておられました。
工事の入札などでも、一部の人だけが儲ける旧体制からの脱却を行いました。
井原さん登場までの岩国の政治は日本どこにでもありそうな、典型的な「組織型」選挙(政治)でした。
「市議のセンセイ」らが、口利きをしていたのです。
それを壊したのが井原さんです。「少数のえらい人が潤う」から、「みんなのための政治」に変えたのです。
市議による口利きができなくなった。
ただ、それにより、今まで「組織型政治」で儲けていた、一部の人たちの恨みは買ったような観はあります。
このため地元経済界の一部幹部や市議らが「打倒井原」の急先鋒としてとくに昨年以降、動いたのです。彼ら・彼女らは、「井原さんが何もしていない」と批判を繰り返しています。
しかし私に言わせれば「井原さんは「えらい人だけが儲かることは」何もしていない」というだけです。
彼は一貫して草の根選挙に徹し、特定政党の推薦は受けない。「えらい人」ではなく「ひとりひとり」の市民を大事にする選挙です。
「私には組織がない。金もない」というのは本音です。
今回は、民主党や共産党など野党の議員、連合も「自主的には応援」するが、党員・組合員の自主的取り組みに任せ、動員や強制は全くありません。
井原さんには、私が面識がある田中康夫さん、秋葉忠利さん、浅野史郎さんと共通するものを感じます。
◇市民党?自民党?福田さん
対する新人の福田良彦さんは、「市民党」を名乗っておられます。
だが私たちに言わせれば「しみんとう」は「じみんとう」の間違いではないかと取材すればするほど感じました。
その理由を記します。
彼はいわゆる911総選挙で初当選された「小泉チルドレン」です。
いわば、小泉政治の申し子です。
小泉政治の特徴は、「組織型」を一見ぶっこわすように見せかけた。「自民党をぶっ壊す」と小泉さんが在任中の五年半、壊れたテープレコーダーのように繰り返した言葉にそれは象徴されます。
しかし、実際は、「人気者のカリスマ」により、上位下達で、アメリカ応援ないし、トヨタ応援の政治を押し付けるというものです。
「えらい人中心」では変わらない。
岩国に押し付けようとしたのもその一環です。
また、地方交付税をカットし、国のいいなりに自治体をしようとしました。ある意味「組織型」よりも、非民主的な面はあります。
だが、小泉さんの姿勢が「田舎のセクハラオヤジ」退治に見えて、溜飲を下げてしまった人も多いでしょう。
そんな小泉政治の「チルドレン」の福田さんです。
県議も2003年の初当選で、一期まるまるさえつとめていない無名で、あの911総選挙でさえ、当初は圧倒的劣勢を伝えられた福田さん。
しかし、小泉さんのオウム返しのように「改革を止めるな」をひたすら唱え、民主党の大物議員の平岡秀夫さんを500票あまりの僅差で振り切りました。まさに「小泉様々」です。
だが、今回は、自らを国会議員に押し上げた「小泉手法」と、地元自民党の「組織型」双方を併用しています。
小泉手法としては、大阪府の橋下知事の応援を受け、井原さんを「「憲法が分かっていない」悪者」に仕立てようとするということが挙げられます。
「人気者」に逆らう奴はけしからんという雰囲気を醸し出すのが狙いでしょうか?
この場合、役者の格は違うが、「小泉」が「橋下」に変わっただけです。
それにより、無党派にもアピールし、国の横車を通そうというわけです。
また、「艦載機を受け入れないと、夕張になる」、という単純な主張も、「郵政民営化で何でも解決する」がごとき雰囲気を醸し出した小泉手法ににてなくもありません。
http://www.news.janjan.jp/government/0801/0801289713/1.php
「小泉手法」と並ぶ福田さんの選挙の柱、いや、今回の最大の柱は、「組織型」の「締め付け」「利益誘導」です。
地域の自治会などを締め付け、自治会長や取引先などを通じ、人々を締め付ける手法がとられています。
「井原につくと商売に支障がでるぞ」と脅された人々もいます。
一方で、ドクターヘリコプター完備の病院、駅舎新築など非現実的と思える「田中の角さん」もびっくりする「公共事業」と「スマイルの美濃部さん(元東京都知事)」も腰を抜かす「福祉」の「バラまき」を公約しています。
新しい自民党=小泉的「劇場型」=人気者の権威と単純な図式による宣伝
と、
古い自民党=典型的な締め付け
の併用です。まさに「古くも新しくも自民党」です。
本当の争点は曖昧にしておられるが、「お金と引き換えに基地を受け入れる」という本音なのです。
自民党幹部の伊吹幹事長もはっきりと「基地問題が争点」と認識されています。
中央のアメリカ応援のネオリベ・ネオコンの自民党幹部と、「田舎の自民党」(で亀井さんらのように自民党の旨味を捨てて野に下る人を覗く)が、連結したのが今回の福田陣営です。
アメリカ従属化のネオコン・ネオリベ(幹部)も「古い自民党」(地方)も追い詰められているからこそ必死ではないかと思えるのです。
市民団体が公開討論会をしようとしたら、井原さんは承諾したが、福田さんは拒否しました。政策に自信があれば受けたはずではないかと思えるのです。
今回の選挙でも、一方で多くの保守系の方も「自民党はレベルが落ちた」といいます。
新しい自民党の悪い部分と古い自民党の悪い部分をつなげたことを見抜く人も多いのです。
(岩国支局)

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岩国市長選挙は、前市長の井原勝介さんと、前自民党衆院議員の福田良彦さんのお二人が立候補しています。
http://www.janjan.jp/government/0802/0802020060/1.php
筆者はここ数年、「国に対して物申す」井原勝介さんを応援する立場で、岩国市に何度も入っています。
井原さんご自身は、基地そのものには反対ではありません。そのことは何度も明言されています。
しかし「米軍再編による艦載機移転」については「市民のため真剣に考えれば考えるほど、納得できない」という姿勢です。
「喧嘩をしているつもりはない。市民の安全・安心を守りたい。国と直談判したい」というのが井原さんのご主張です。
そもそも、市民の間でも「基地は市内最大の企業」という声が強い。
私が3日に乗車した男性タクシー運転手(60)も、「川下地区に六十年住んで自分の両親もベース(基地)に勤務していた。ベースが支えたのも事実。」と複雑な心境をのぞかせました。
しかし、国が三年前に艦載機の移転を市民にことわりなく決めたことで市民の怒りが爆発しました。
2006年3月の住民投票での「艦載機受け入れノー」が多数を占め、さらに合併に伴う市長選挙でも井原勝介さんが圧勝しました。
だが、みなさんも報道でご承知の通り、2006年末、国(当時の防衛次官・守屋武昌被告)は岩国市への市庁舎建設への補助金をカット。
これは1997年に普天間の空中給油機を当時の貴船市長が受け入れたことへの見返りであり、米軍再編と関係ないのです。
が守屋被告は、「兵糧攻め」を開始。
市議たちも次々「容認」に寝返り、2007年は予算が4回否決された。そこで年末に井原市長は辞職し、予算を修正の末、通してもらうとともに民意をとうことにしたのです。
◇参加型民主主義の井原さん
1999年に初当選した井原さんの一貫した理想は「岩国を民主主義のモデルにしたい」ということです。
左翼でも右翼でもなく、労働省の官僚ご出身です。民主主義を徹底したいというお考えです。
実際にもその理念は活かされます。市民会議を設け、市民とともに歩む市政を展開。
合併前に町村だった地域からも、「ふつうの人」を委員に選ぶなどなるべく、「公平」にしよう「市民の声を市政に」と苦心しておられました。
工事の入札などでも、一部の人だけが儲ける旧体制からの脱却を行いました。
井原さん登場までの岩国の政治は日本どこにでもありそうな、典型的な「組織型」選挙(政治)でした。
「市議のセンセイ」らが、口利きをしていたのです。
それを壊したのが井原さんです。「少数のえらい人が潤う」から、「みんなのための政治」に変えたのです。
市議による口利きができなくなった。
ただ、それにより、今まで「組織型政治」で儲けていた、一部の人たちの恨みは買ったような観はあります。
このため地元経済界の一部幹部や市議らが「打倒井原」の急先鋒としてとくに昨年以降、動いたのです。彼ら・彼女らは、「井原さんが何もしていない」と批判を繰り返しています。
しかし私に言わせれば「井原さんは「えらい人だけが儲かることは」何もしていない」というだけです。
彼は一貫して草の根選挙に徹し、特定政党の推薦は受けない。「えらい人」ではなく「ひとりひとり」の市民を大事にする選挙です。
「私には組織がない。金もない」というのは本音です。
今回は、民主党や共産党など野党の議員、連合も「自主的には応援」するが、党員・組合員の自主的取り組みに任せ、動員や強制は全くありません。
井原さんには、私が面識がある田中康夫さん、秋葉忠利さん、浅野史郎さんと共通するものを感じます。
◇市民党?自民党?福田さん
対する新人の福田良彦さんは、「市民党」を名乗っておられます。
だが私たちに言わせれば「しみんとう」は「じみんとう」の間違いではないかと取材すればするほど感じました。
その理由を記します。
彼はいわゆる911総選挙で初当選された「小泉チルドレン」です。
いわば、小泉政治の申し子です。
小泉政治の特徴は、「組織型」を一見ぶっこわすように見せかけた。「自民党をぶっ壊す」と小泉さんが在任中の五年半、壊れたテープレコーダーのように繰り返した言葉にそれは象徴されます。
しかし、実際は、「人気者のカリスマ」により、上位下達で、アメリカ応援ないし、トヨタ応援の政治を押し付けるというものです。
「えらい人中心」では変わらない。
岩国に押し付けようとしたのもその一環です。
また、地方交付税をカットし、国のいいなりに自治体をしようとしました。ある意味「組織型」よりも、非民主的な面はあります。
だが、小泉さんの姿勢が「田舎のセクハラオヤジ」退治に見えて、溜飲を下げてしまった人も多いでしょう。
そんな小泉政治の「チルドレン」の福田さんです。
県議も2003年の初当選で、一期まるまるさえつとめていない無名で、あの911総選挙でさえ、当初は圧倒的劣勢を伝えられた福田さん。
しかし、小泉さんのオウム返しのように「改革を止めるな」をひたすら唱え、民主党の大物議員の平岡秀夫さんを500票あまりの僅差で振り切りました。まさに「小泉様々」です。
だが、今回は、自らを国会議員に押し上げた「小泉手法」と、地元自民党の「組織型」双方を併用しています。
小泉手法としては、大阪府の橋下知事の応援を受け、井原さんを「「憲法が分かっていない」悪者」に仕立てようとするということが挙げられます。
「人気者」に逆らう奴はけしからんという雰囲気を醸し出すのが狙いでしょうか?
この場合、役者の格は違うが、「小泉」が「橋下」に変わっただけです。
それにより、無党派にもアピールし、国の横車を通そうというわけです。
また、「艦載機を受け入れないと、夕張になる」、という単純な主張も、「郵政民営化で何でも解決する」がごとき雰囲気を醸し出した小泉手法ににてなくもありません。
http://www.news.janjan.jp/government/0801/0801289713/1.php
「小泉手法」と並ぶ福田さんの選挙の柱、いや、今回の最大の柱は、「組織型」の「締め付け」「利益誘導」です。
地域の自治会などを締め付け、自治会長や取引先などを通じ、人々を締め付ける手法がとられています。
「井原につくと商売に支障がでるぞ」と脅された人々もいます。
一方で、ドクターヘリコプター完備の病院、駅舎新築など非現実的と思える「田中の角さん」もびっくりする「公共事業」と「スマイルの美濃部さん(元東京都知事)」も腰を抜かす「福祉」の「バラまき」を公約しています。
新しい自民党=小泉的「劇場型」=人気者の権威と単純な図式による宣伝
と、
古い自民党=典型的な締め付け
の併用です。まさに「古くも新しくも自民党」です。
本当の争点は曖昧にしておられるが、「お金と引き換えに基地を受け入れる」という本音なのです。
自民党幹部の伊吹幹事長もはっきりと「基地問題が争点」と認識されています。
中央のアメリカ応援のネオリベ・ネオコンの自民党幹部と、「田舎の自民党」(で亀井さんらのように自民党の旨味を捨てて野に下る人を覗く)が、連結したのが今回の福田陣営です。
アメリカ従属化のネオコン・ネオリベ(幹部)も「古い自民党」(地方)も追い詰められているからこそ必死ではないかと思えるのです。
市民団体が公開討論会をしようとしたら、井原さんは承諾したが、福田さんは拒否しました。政策に自信があれば受けたはずではないかと思えるのです。
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by hiroseto2004
| 2008-02-03 14:13
| 新しい政治をめざして
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