岩国市長選の財政学分析
2008年 02月 09日
岩国市長選は明日が投票日です。
◇「えらい人中心」変えた井原さん
井原さんは、9年前、組織対決の構図の市長選に危機感を覚え、大蔵官僚対運輸官僚の一騎打ちという構図の中に徒手空拳、草の根で割って入りました。
事前の劣勢予想を覆し当選。
その後は、市長と議会の関係が緊張感がなかったのを改めました。
市議らによるねじ込みも排除しました。
一部議員は井原さんに反感を持ち、基地問題が起きる前から「市長いびり」はひどかった。秋葉さんがいびられた広島市議会と似ています。
それでも市民たちも議会を傍聴する運動などを起こし岩国の民主主義は進歩した。
◇合併でいき吹き返した「旧来型」と「小泉的ネオコン」の野合
ただ2006年の合併で旧来型議員が雪崩れ込みました。
国による補助金カットを契機に旧来型議員が市長いびりを激化させた。
地元旧来型議員にとっては井原がムカついたから落とす。それだけのことです。
それをアメリカ従属の自民党・公明党が米軍再編を押し付けるため、悪用しています。
「旧来型」と本来「旧来型」を叩くことで911総選挙で勝ったはずの福田良彦さんが野合しました。
新人の福田良彦さんの陣営は公明党員の若者や女性を選挙の前面に出し候補者の若さとタイアップさせてさわやかさを醸し出す一方、旧町村では業界や地域有力者を通じた締め付けを図っています。
◇公明党は本気
岩国市中心部で旗を振って宣伝をしていた若者や女性は、手の振り方もスムーズでかつ力強く、非常に訓練されていました。
長年選挙を取材してきた私にはピーンと「公明党」ときました。
それは、福田陣営から情報を取った信頼できる情報筋への取材で裏がとれました。
最近は自主投票だった公明党も今回は総力戦だそうです。
組織票と無党派でもイメージで選ぶような方々をターゲットにしています。
井原さんの支持者は政党支持にかかわらず政策で選ぶ人たちです。
「参加型」か、「組織票プラス劇場型」か。
その政治のあり方の戦いでもあります。
福田陣営の方々の言動を知れば知るほど民主主義と程遠いと実感しました。彼ら、彼女らは、市民ではなく「お上」が大事なのです。
◇「景気優先」の罠
ただ、一部には福田さんが景気を良くしてくれる、庶民の味方、と思いこんで、福田さんのばらまきに飛びつく方もおられます。
この方々は、かつては小泉自民党を支持したが、だまされたと気づいて、昨年の参院選ではむしろケインズ的な政策を掲げた民主党に流れた。
しかしまた福田さんを支持するという人もおられるようです。
そこで、今は、「景気を良くするのは国の役目である。
地方ではむしろ公平に行政サービスがなるべくきめ細かく、行き渡るようにするのが最大の課題。
国に地方切り捨てを止めさせつつ、地方では井原さんのようにしがらみを断ち切る改革が必要である」という話を財政学的にお話します。
」
◇国レベルは景気対策急務!
さて、私はそもそも、国政レベルではケインズ主義です。
最近の国政レベルでの緊縮財政こそ、不況の元凶です。
国家財政の機能として、所得再分配機能と景気自動安定化機能、資源再配分機能の3つがあります。
所得再分配機能がないと格差が拡大してしまいます。
景気自動安定化機能がないと不況が激化します。
資源再配分機能で適切な公共投資や規制をしないとやはり経済はうまくいかない。
◇地方だけで景気対策は不可能
ただ、地方レベルでは、所得再分配や景気対策を一自治体だけでやっても、金が外に流出するだけになりかねません。
だから所得再分配や景気対策は国の仕事になります。
地方は、国の経済政策に制約を受けます。
実は、今苦しいのは岩国だけではなく、広島県の広島も福山も、山口県の宇部も一緒です。
◇国を変えるしかない!
岩国を含む地方の景気をよくするには国を変えるしかないのです。
地方が連帯して、住民の怒りをバックに国の地方切り捨て財政政策をやめさせるしかない。
その上で、地方レベルでは公正な配分をするのです。
◇経済に無知な「福田派」
岩国市長選で新人を支持する方々の主張はあるべき姿と正反対です。
彼ら彼女らの多くは、地方財政の切り捨てをしてきた自民党や公明党の一員です。
国で地方切り捨てをする自民党を支持する。
自治体レベルで「岩国再生」などといって艦載機受け入れの対価による積極財政を行い、さらに「えらい人」が裏でこそこそ事業を「ねじ込む」。
これが「福田派」です。
そもそも実は小泉純一郎さんや防衛官僚こそ「アメリカ」という地球上最大の「しがらみ」にとらわれています。
これでは地方の庶民はますます苦しくなるのです。
地方が苦しい中で積極財政でハコモノをたくさんつくれば、また維持費もかかります。それこそ危ないのです。
経済学的に見ても、市長は、「えらい人」のしがらみを断てる人であるべきです。
◇国と地方の役割分担を混同してはいけない
確かに不況の中で国政ではケインズ主義が必要になっている。
しかしだからといって自治体の首長にケインズ主義を求めるのは間違いです。
国にまず新自由主義放棄を求めましょう。
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◇「えらい人中心」変えた井原さん
井原さんは、9年前、組織対決の構図の市長選に危機感を覚え、大蔵官僚対運輸官僚の一騎打ちという構図の中に徒手空拳、草の根で割って入りました。
事前の劣勢予想を覆し当選。
その後は、市長と議会の関係が緊張感がなかったのを改めました。
市議らによるねじ込みも排除しました。
一部議員は井原さんに反感を持ち、基地問題が起きる前から「市長いびり」はひどかった。秋葉さんがいびられた広島市議会と似ています。
それでも市民たちも議会を傍聴する運動などを起こし岩国の民主主義は進歩した。
◇合併でいき吹き返した「旧来型」と「小泉的ネオコン」の野合
ただ2006年の合併で旧来型議員が雪崩れ込みました。
国による補助金カットを契機に旧来型議員が市長いびりを激化させた。
地元旧来型議員にとっては井原がムカついたから落とす。それだけのことです。
それをアメリカ従属の自民党・公明党が米軍再編を押し付けるため、悪用しています。
「旧来型」と本来「旧来型」を叩くことで911総選挙で勝ったはずの福田良彦さんが野合しました。
新人の福田良彦さんの陣営は公明党員の若者や女性を選挙の前面に出し候補者の若さとタイアップさせてさわやかさを醸し出す一方、旧町村では業界や地域有力者を通じた締め付けを図っています。
◇公明党は本気
岩国市中心部で旗を振って宣伝をしていた若者や女性は、手の振り方もスムーズでかつ力強く、非常に訓練されていました。
長年選挙を取材してきた私にはピーンと「公明党」ときました。
それは、福田陣営から情報を取った信頼できる情報筋への取材で裏がとれました。
最近は自主投票だった公明党も今回は総力戦だそうです。
組織票と無党派でもイメージで選ぶような方々をターゲットにしています。
井原さんの支持者は政党支持にかかわらず政策で選ぶ人たちです。
「参加型」か、「組織票プラス劇場型」か。
その政治のあり方の戦いでもあります。
福田陣営の方々の言動を知れば知るほど民主主義と程遠いと実感しました。彼ら、彼女らは、市民ではなく「お上」が大事なのです。
◇「景気優先」の罠
ただ、一部には福田さんが景気を良くしてくれる、庶民の味方、と思いこんで、福田さんのばらまきに飛びつく方もおられます。
この方々は、かつては小泉自民党を支持したが、だまされたと気づいて、昨年の参院選ではむしろケインズ的な政策を掲げた民主党に流れた。
しかしまた福田さんを支持するという人もおられるようです。
そこで、今は、「景気を良くするのは国の役目である。
地方ではむしろ公平に行政サービスがなるべくきめ細かく、行き渡るようにするのが最大の課題。
国に地方切り捨てを止めさせつつ、地方では井原さんのようにしがらみを断ち切る改革が必要である」という話を財政学的にお話します。
」
◇国レベルは景気対策急務!
さて、私はそもそも、国政レベルではケインズ主義です。
最近の国政レベルでの緊縮財政こそ、不況の元凶です。
国家財政の機能として、所得再分配機能と景気自動安定化機能、資源再配分機能の3つがあります。
所得再分配機能がないと格差が拡大してしまいます。
景気自動安定化機能がないと不況が激化します。
資源再配分機能で適切な公共投資や規制をしないとやはり経済はうまくいかない。
◇地方だけで景気対策は不可能
ただ、地方レベルでは、所得再分配や景気対策を一自治体だけでやっても、金が外に流出するだけになりかねません。
だから所得再分配や景気対策は国の仕事になります。
地方は、国の経済政策に制約を受けます。
実は、今苦しいのは岩国だけではなく、広島県の広島も福山も、山口県の宇部も一緒です。
◇国を変えるしかない!
岩国を含む地方の景気をよくするには国を変えるしかないのです。
地方が連帯して、住民の怒りをバックに国の地方切り捨て財政政策をやめさせるしかない。
その上で、地方レベルでは公正な配分をするのです。
◇経済に無知な「福田派」
岩国市長選で新人を支持する方々の主張はあるべき姿と正反対です。
彼ら彼女らの多くは、地方財政の切り捨てをしてきた自民党や公明党の一員です。
国で地方切り捨てをする自民党を支持する。
自治体レベルで「岩国再生」などといって艦載機受け入れの対価による積極財政を行い、さらに「えらい人」が裏でこそこそ事業を「ねじ込む」。
これが「福田派」です。
そもそも実は小泉純一郎さんや防衛官僚こそ「アメリカ」という地球上最大の「しがらみ」にとらわれています。
これでは地方の庶民はますます苦しくなるのです。
地方が苦しい中で積極財政でハコモノをたくさんつくれば、また維持費もかかります。それこそ危ないのです。
経済学的に見ても、市長は、「えらい人」のしがらみを断てる人であるべきです。
◇国と地方の役割分担を混同してはいけない
確かに不況の中で国政ではケインズ主義が必要になっている。
しかしだからといって自治体の首長にケインズ主義を求めるのは間違いです。
国にまず新自由主義放棄を求めましょう。
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Tracked
from 「猫の教室」 平和のため..
at 2008-02-10 04:22
タイトル : アメリカの大統領選挙の候補者選びが白熱している。
今日は、日本の地方自治の命運をかけた、岩国市長選挙である。私は、井原候補の当選を願ってやまないが、アメリカの大統領選挙の結果次第では、岩国の問題も、アメリカ側から、解消する可能性も、無くはない。そのアメリカ大統領選挙の行方を展望してみたい。 共和党では..... more
今日は、日本の地方自治の命運をかけた、岩国市長選挙である。私は、井原候補の当選を願ってやまないが、アメリカの大統領選挙の結果次第では、岩国の問題も、アメリカ側から、解消する可能性も、無くはない。そのアメリカ大統領選挙の行方を展望してみたい。 共和党では..... more
by hiroseto2004
| 2008-02-09 23:41
| 新しい政治をめざして
|
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