道路特定財源問題、民主党が対案
2008年 02月 28日
道路特定財源問題をめぐる議論がこう着状態になっていました。
今一度、議論の状況を整理してみましょう。
■「環境」も掲げだした自民党だが・・・
現福田自民党執行部は基本的に、暫定税率を維持しつつ、道路をどんどんつくる今までの路線を維持しています。暫定税率維持の論拠として今年に入り、「地球環境問題を考えれば石油は安いほうがよい」ということも挙げるようになりました。
■「ガソリン値下げ隊」民主党
民主党は、これまで、暫定税率廃止で、ガソリン税を下げようという街頭キャンペーンを行ってきました。世論の一定の支持は得られているものの、一方で地方自治体の首長らからは不安の声が上がっています。
■庶民生活重視の国民新党、環境重視の社民、共産
国民新党は、道路特定財源維持の立場ですが、外国為替特別会計(外貨準備)のお金などを活用して、石油値上がりによる庶民生活の被害を補償する、という政策を、経済対策の一環として発表しています。
共産党、社民党は、道路特定財源廃止では民主党と一致しますが、環境対策を強く求めるスタンスです。
■財源不安訴える首長ら
一方、小泉政権下で、地方交付税カットで「煮え湯」を飲まされた自治体の首長で構成する団体などは、道路特定財源維持を主張しています。代表的な論客は東国原宮崎県知事です。
彼ら・彼女らは、第一に暫定税率を廃止した場合、地方の具体的な財源が見えないこと。また、第二に地方では道路が必要であることなどをその主張の論拠としてあげています。
しかし、それは人々の意識と乖離しているのではないかという疑いを抱かざるを得ないのです。
■大都市住民と小泉さん
ここへきて、元総理・小泉純一郎さんが「一般財源化」をめざす民主党の姿勢を評価しだしました。
彼は、「暫定税率を維持しつつ、一般財源化を図る」路線でした。また、就任当初の所信表明演説では、「道路特定財源の一般財源化」と「保育所待機児童ゼロ」を公約していました。
多くの大都市住民は、小泉さんが硬直した金の使い方を改めて、保育や介護、教育などを充実させてくれると思ってしまった。小泉さんに「欧州型」セーフティネットを期待したリベラルな考えの主婦やサラリーマンも大都市部を中心に多かったように記憶しています。ただ、もちろん、それはご覧のとおり裏切られたわけです。ただ、「もう少し保育や医療、教育などにお金を」という願いは根強くあります。
■道路へのニーズ低下する地方住民
一方、地方の住民の多くは、どうか?道路へのニーズは昔ほどではなくなった。むしろ「あれ(道路の多く)は地元の議員の利権に過ぎない。余計な道路を作る前に、病院を廃止しないでほしい。高齢者がクルマを使わないで済むような地域づくりをしてほしい。」といった声も強くあります。
■自治体担当者も現行システムには反対が多い
自治体で道路などの(国土交通省的な分野の)行政をやっている人々はどう考えているか。私は、労働組合の活動などでよく県内の自治体の道路や建設関係の行政職場の人とも話をします。
彼ら・彼女ら世間で流布されているイメージとは違い、「道路をつくりまくりたい」わけではないのです。現行の道路システムについても反対意見が強いのです。大体以下のような意見です。
「たしかに、道路をつくるための財源が保障されているのはプラス面もある。しかし、一方で、道路をどんどんつくる今のシステムの下で、たとえば自治体が口を挟めない国の直轄事業でも、県が最大3分の1を負担しないといけない。今後建設される高速道路にしても、市町村に一割程度負担がかかる。財政が苦しいところにとっては、かなりの負担だ。国への負担金がかさんで借金がかなりある。マイナス面もかなり大きい。今のシステム維持ではだめだろう」
私のほうも「しかしまあ、予算という人質を国に取られているようなものだよなあ」というと、彼ら・彼女らもたいていうなずきます。思うような仕事ができないことへの苛立ちを共有しあいます。
■財源保障した上で、国民的議論を
私の考え方は、以下です。
道路特定財源は廃止すべきである。そうでないと、自民党が言う「環境にやさしいガソリン税」も成り立ちません。
しかし、一方で、地方住民の窮状をなんとかしないといけません。ただ、税率を下げれば、地方自治体が当座は困る。ここにジレンマがあります。
そこで、地方への財源保障を行う。自由に使える財源を保障するのです。
これは、政府自民党の責任で行うべきことです。決して野党に責任を擦り付けてはいけない。
その上で、2008年度は国民的議論の年度にするのです。
地方財政のあり方。人間に優しい街づくりのあり方。環境に負荷の少ないエネルギー政策はどうあるべきか?
道路だけでなく「国のあり方」を根本から議論すべきです。
その上で、適当なところで解散総選挙を行うべきでしょう。
http://www.dpj.or.jp/news/dpjnews.cgi?indication=dp&num=12771
今一度、議論の状況を整理してみましょう。
■「環境」も掲げだした自民党だが・・・
現福田自民党執行部は基本的に、暫定税率を維持しつつ、道路をどんどんつくる今までの路線を維持しています。暫定税率維持の論拠として今年に入り、「地球環境問題を考えれば石油は安いほうがよい」ということも挙げるようになりました。
■「ガソリン値下げ隊」民主党
民主党は、これまで、暫定税率廃止で、ガソリン税を下げようという街頭キャンペーンを行ってきました。世論の一定の支持は得られているものの、一方で地方自治体の首長らからは不安の声が上がっています。
■庶民生活重視の国民新党、環境重視の社民、共産
国民新党は、道路特定財源維持の立場ですが、外国為替特別会計(外貨準備)のお金などを活用して、石油値上がりによる庶民生活の被害を補償する、という政策を、経済対策の一環として発表しています。
共産党、社民党は、道路特定財源廃止では民主党と一致しますが、環境対策を強く求めるスタンスです。
■財源不安訴える首長ら
一方、小泉政権下で、地方交付税カットで「煮え湯」を飲まされた自治体の首長で構成する団体などは、道路特定財源維持を主張しています。代表的な論客は東国原宮崎県知事です。
彼ら・彼女らは、第一に暫定税率を廃止した場合、地方の具体的な財源が見えないこと。また、第二に地方では道路が必要であることなどをその主張の論拠としてあげています。
しかし、それは人々の意識と乖離しているのではないかという疑いを抱かざるを得ないのです。
■大都市住民と小泉さん
ここへきて、元総理・小泉純一郎さんが「一般財源化」をめざす民主党の姿勢を評価しだしました。
彼は、「暫定税率を維持しつつ、一般財源化を図る」路線でした。また、就任当初の所信表明演説では、「道路特定財源の一般財源化」と「保育所待機児童ゼロ」を公約していました。
多くの大都市住民は、小泉さんが硬直した金の使い方を改めて、保育や介護、教育などを充実させてくれると思ってしまった。小泉さんに「欧州型」セーフティネットを期待したリベラルな考えの主婦やサラリーマンも大都市部を中心に多かったように記憶しています。ただ、もちろん、それはご覧のとおり裏切られたわけです。ただ、「もう少し保育や医療、教育などにお金を」という願いは根強くあります。
■道路へのニーズ低下する地方住民
一方、地方の住民の多くは、どうか?道路へのニーズは昔ほどではなくなった。むしろ「あれ(道路の多く)は地元の議員の利権に過ぎない。余計な道路を作る前に、病院を廃止しないでほしい。高齢者がクルマを使わないで済むような地域づくりをしてほしい。」といった声も強くあります。
■自治体担当者も現行システムには反対が多い
自治体で道路などの(国土交通省的な分野の)行政をやっている人々はどう考えているか。私は、労働組合の活動などでよく県内の自治体の道路や建設関係の行政職場の人とも話をします。
彼ら・彼女ら世間で流布されているイメージとは違い、「道路をつくりまくりたい」わけではないのです。現行の道路システムについても反対意見が強いのです。大体以下のような意見です。
「たしかに、道路をつくるための財源が保障されているのはプラス面もある。しかし、一方で、道路をどんどんつくる今のシステムの下で、たとえば自治体が口を挟めない国の直轄事業でも、県が最大3分の1を負担しないといけない。今後建設される高速道路にしても、市町村に一割程度負担がかかる。財政が苦しいところにとっては、かなりの負担だ。国への負担金がかさんで借金がかなりある。マイナス面もかなり大きい。今のシステム維持ではだめだろう」
私のほうも「しかしまあ、予算という人質を国に取られているようなものだよなあ」というと、彼ら・彼女らもたいていうなずきます。思うような仕事ができないことへの苛立ちを共有しあいます。
■財源保障した上で、国民的議論を
私の考え方は、以下です。
道路特定財源は廃止すべきである。そうでないと、自民党が言う「環境にやさしいガソリン税」も成り立ちません。
しかし、一方で、地方住民の窮状をなんとかしないといけません。ただ、税率を下げれば、地方自治体が当座は困る。ここにジレンマがあります。
そこで、地方への財源保障を行う。自由に使える財源を保障するのです。
これは、政府自民党の責任で行うべきことです。決して野党に責任を擦り付けてはいけない。
その上で、2008年度は国民的議論の年度にするのです。
地方財政のあり方。人間に優しい街づくりのあり方。環境に負荷の少ないエネルギー政策はどうあるべきか?
道路だけでなく「国のあり方」を根本から議論すべきです。
その上で、適当なところで解散総選挙を行うべきでしょう。
http://www.dpj.or.jp/news/dpjnews.cgi?indication=dp&num=12771
【次の内閣】「民主党道路政策大綱」を策定、道路特定財源制度改革法案も提出へ
民主党は27日午後、党本部で『次の内閣』閣議を開催し、道路政策に対する基本的な考え方をまとめた「道路政策大綱」(下記関連記事参照)を取りまとめ、対案提出も了承した。
冒頭、挨拶に立った菅直人副総理大臣(代表代行)は、韓国新大統領就任式代表団の団長として、去る25日に行われた李明博韓国新大統領就任式に出席したことを報告。明新大統領の演説を「意欲的ないい内容だった」と評価するとともに、新しい時代の幕開けとして「日韓の色々な人脈をしっかり作っていくいい機会である」と述べ、各ネクスト大臣に対しても、日韓の精力的な交流発展のため尽力するよう求めた。
予算・税制関連法案への対応について、直嶋正行ネクスト官房長官(政調会長)が、平成20年度政府予算案には道路財源問題をはじめとする数多の問題点があることを説明。閣議として反対の方向性を確認し、最終対応は政調会長に一任した。関連して、中川正春ネクスト財務大臣が「平成20年度における公債の発行の特例に関する法律案」、「所得税法等の一部改正案」について、原口一博ネクスト総務大臣が「地方税法等の一部改正案」、「地方法人特別税等に関する暫定措置法」、「地方交付税法等の一部改正案」について、長浜博行ネクスト国土交通大臣が「道路整備費の財源等の特例に関する法律の一部改正案」について、それぞれ法案概要と論点を説明。閣議として反対の方向性を確認し、最終対応は直嶋政調会長と各担当大臣に一任した。
また、直嶋ネクスト官房長官(政調会長)は、政府案への対案となる民主党議員立法「道路特定財源制度改革法案」の内容を説明。閣議として法案内容を了承するとともに、今後の取扱いを政調会長に一任した。
続いて、道路特定財源・暫定税率問題対策本部長の菅ネクスト副総理大臣(代表代行)は、民主党の道路政策に対する基本的考え方をまとめた「民主党道路政策大綱(案)」を提起。(1)特定財源廃止(2)暫定税率期限切れ(3)地方の財源確保(4)国・地方の道路整備(5)道路建設ルールの抜本見直し――からなる大綱内容を閣議として了承した。
会見後の記者会見で菅ネクスト副総理大臣(代表代行)は、「民主党道路政策大綱」を発表するにあたり、「これまで道路特定財源が国土交通省の政治支配、地方支配、国会議員支配の道具として使われていた」として、根本的な道路政策、今日の政治構造そのものを変えていく必要性を強調。「巨額な投資をしながら使えない道路があり、莫大な借金を国民に残している」と、道路特定財源による弊害を指摘し、民主党案では、真の地方分権の実現に向けて、新たな財源配分で地方の財源維持、自主的に使える財源を増やしていくとの基本方針を述べた。そのうえで、自民党に対して、54年前に決められた道路政策をそのまま踏襲するのではなく、この民主党の提起に呼応し、体系的な道路政策を対案として示すよう要請した。
その他の法案等の取り扱いでは、小宮山洋子ネクスト文部科学大臣から、民主党議員立法「教科書バリアフリー関連3法案」についての説明が行われ、小中高に在籍する弱視の子どもたちの教科書が不足していることに鑑み、すべての子どもの学ぶ機会を保障する観点から、国と教科書会社に拡大教科書の発行・費用負担等を義務付けるとする法案内容を了承した。また、細川律夫ネクスト法務大臣は、民主党議員立法「民法の一部を改正する法律案」について、選択的夫婦別氏等の法案内容を説明し、閣議として了承した。これは1998年以来衆参両院で計14回、野党共同で提出してきているものであり、現在衆議院でも継続審議中となっている。
by hiroseto2004
| 2008-02-28 12:12
| エネルギー政策
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