同一価値労働に同一賃金を(2)
2008年 03月 15日
主催者を代表して越堂さんが、挨拶。
「労働者の三人に一人が非正規。そのうち七割以上が女性。今こそ同じ仕事に同じ賃金を、の声を上げよう。
昨年9月、ILOとイギリスに二十六人で調査にいった。」と紹介しました。
森さんからは、ILOに行った理由と、イギリスの公務員労組ユニソン(日本で言えば私が所属する自治労に相当)による同一価値労働同一賃金への取り組みについて詳しく報告いただきました。
日本政府はILO100号条約を批准していますから、二年に一度、ILOに措置を勧告する実施措置を報告する義務があります。今年3月には、ILOの専門家委員会は、日本での賃金のジェンダー格差に重大な懸念を表明。
ILO100号条約の十分な適用を保障するため、「同一価値労働同一賃金」を立法化するよう要請しました。
今回の旅はそれを受けて日本における同一価値労働同一賃金の実現を促進するものでした。
「ILOでは、平等コーディネーター・ショーナ・オルネイさんとミーティング。兼松、住友電工など三社、岡谷鋼機、名古屋銀行の男女差別の実態をそれぞれ会社を訴えている原告がアピールしました。
オルネイさんからは『日本はまだすべきことがたくさんある。日本はILO100号条約、111号条約(雇用・職業差別待遇禁止)、百五十六号条約(家族的責任を有する労働者条約)、183号条約(母性保護条約)のうち、111号条約と183号条約が未批准。先進国で100号条約と111号条約を合わせて批准してないのは日本だけ(アメリカは両方批准していない)で目立っている。』
『異なる職種を客観的な基準で評価する、職務評価が不可欠。』とお話いただいた。」
「NGOであるWWNのアピールを好意的に受け止め、11月の専門家委員会に今回WWNが提出した資料を情報として提示してくれると約束してもらった。ILOに日本の男女賃金格差を直接伝えることが重要だ。」
「イギリスでは、男女の賃金格差はフルタイムの男女で、男性100に対し、女性は82、9。フルタイム男性とパートタイム女性なら100対59。日本はパートタイム女性は、フルタイム男性の33パーセントに過ぎない。
ユニソンは、女性労働者が、同一賃金を請求するよう進めていて、雇用審判所の受理件数は急増した。」
「組合は2007年までに、同一価値労働同一賃金を原則とした統一した職務評価制度を導入するよう求めたが、実施自治体は三割。そこで、組合が大量の同一賃金請求を行うよう勧めた」
「医療部門では大規模な賃金改革が行われた。」「同一価値労働同一賃金を保障する職務評価を義務化した。過去に不当に賃金が低かった人は、バックペイを要求している。」
「男女平等と同一価値労働同一賃金を実現する上で労働組合が重要だと再確認した。」
続いて発言した浅倉さんはILOには今回は行きませんでしたが、少しずれた時期にイギリスを調査しています。
浅倉さんは、イギリスの制度の限界にも触れました。
「イギリスでは、1975年に同一賃金法が施行されています。
しかし、イギリスの感覚でいえば、まだまだ格差がある。
」
「同一賃金法は同一の事業者に雇用され、同一の事業所ないし共通の条件が適用される事業所で雇用されていることが条件のため、例えば外部委託が進むと女性を男性と比較しきれない部分がでてくる」
「賃金を巡る紛争解決手続きはパンク状態」と実情を報告。
「使用者が個々に負けても、全体の構造を変えないとだめだ、だから、個別の賃金についてはモラトリアムを設け、システム自体を使用者に改めさせようという議論の方向だ。」
「2006年平等法が施行。公的機関にジェンダー平等義務を課しました。特定の公共機関には特に厳しい義務を課しています」
と、マクロな構造の改革へ動き出している実態を報告しました。
記事へのご意見・ご感想はこちらへどうぞ!
なるほど!と思ったら下をクリックお願いします!
人気blogランキングへ
by hiroseto2004
| 2008-03-15 22:14
| ジェンダー・人権
|
Trackback