ポピュリズムの系譜と今後への教訓
2008年 08月 07日
ポピュリズム。
現代日本において、その系譜は、やはり中曽根康弘さんがトップバッターではなかったか?
中曽根さんは、「増税なき財政再建」を掲げました。
問題はその中身です。結局、彼は国鉄を民営化さえすればすべてが解決するような雰囲気をかもし出しました。国鉄職員をバッシングの対象にした。
しかし、国鉄の赤字は、結局後々まで残りました。さらに突っ込みを入れれば、JR北海道、九州、四国、貨物については、上場さえできていない。これは民間会社としては成り立ち得ない、ということを暴露しているのではないでしょうか?その上、新幹線と平行している在来線は切り離され、不便な第三セクターになっています。
中曽根政治で何か解決したのでしょうか?
もちろん、「我田引鉄」は問題だった。しかしそれならば、それを防ぐような民主的な手立てを考えるべきでしょう。外部監査を強化することがひとつあるでしょう。あるいは逆に国会の関与を強めることで「一部の国会議員が裏でこそこそ圧力をかける」ことのないようにする、という手もあります。
それこそ昔のように「鉄道省」にしてしまうという手さえ考えられるのです。
あるいは、地方政府に財源を渡した上で、地方政府に任せるという手もあるでしょう。中曽根政治で明らかに、地方の交通事情は悪くなり、ますますクルマ依存が進んだのは間違いないと思います。
その次のポピュリズム的なものは、結果としてでしょうが、1980年代末の土井たか子さん率いる日本社会党がかもし出した。「だめなものはだめ」と消費税に反対して票を取った。ただし、同党は、その後、消費税引き上げを推進し、信望を失い、急速に衰亡します。
時は変わって21世紀。小泉総理は、最初から最後までほとんど壊れたテレコのように「郵政民営化」「改革」しか言わなかった。何かよくなったことがあるでしょうか?
ポピュリズムは不毛な結果しかもたらさないような気がします。
もちろん、「庶民より」か、「えらい人より」か、など大まかな方向性はわかりやすくする必要があると思います。
しかし、個々の政策を捨象して、一律にレッテル張りし、「**さえすればよくなる」「**さえやっつければよくなる」というのは乱暴な話です。
たとえば、高齢者でも、所得が高い人から低い人、財産がある人からない人までおり、ひとくくりにはできない。きめ細かな対応が必要になってきます。高齢者を一律に恵まれているとしてスケープゴートにする議論も、一律に弱者としてしまう議論も不毛だと思うのです。
最近たたかれている公務員にしても、本当に減らすのが正しいのでしょうか?たとえば、「えらい人」は団塊の世代の退職を機会に減らし、現場サービスを充実させる、そのために介護や医療、教育で公務員を増やす、というのも手だと思います。
方向性はわかりやすくてよい。しかし、具体策となると、そうそう単純な話ではいきません。より多様な声が反映するような議会のもとできちんと議論していかないといけないと思います。
外交でも、単純にアメリカが悪いとか、中国が悪いとかだけ決め付けても仕方がない。悪いのは悪いのですが、しかし、その中で現実として、どう立ち回っていくのかということ。
最低限、エネルギーや食料が確保できるようにするにはどうすればよいか?ここが鍵だと思います。
現実的には、おそらく、アメリカとも、中国とも、ロシアともそれ以外とも、それなりの関係をつくる。しかし、「過剰な期待」を相手に対してしない。相手国は最終的には自国民を食わせることを優先させることは念頭に置く。エネルギーについても当面、自給の努力をしつつ、そのことを通じてまた、相手から譲歩を引き出すのもまた外交です。(足元を見られないようにする。)
こんなところに落ち着くのではないかと思うのです。その中でアメリカの力が後退するから、対アメリカ外交の比重は落ちてくるかなあ、というところでしょう。
アメリカがイラクやアフガニスタンでやっていること。中国がチベットやイスラム教徒に対して行っている抑圧。ロシアがやはりイスラム教徒に対して行っている抑圧。これらは、人道的に見て許しがたいと思います。じゃあ、関係を断ち切っていいかというとそういうことではないでしょう。
今後、ポピュリズムの手段が外交になってくると、危ないと思います。

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現代日本において、その系譜は、やはり中曽根康弘さんがトップバッターではなかったか?
中曽根さんは、「増税なき財政再建」を掲げました。
問題はその中身です。結局、彼は国鉄を民営化さえすればすべてが解決するような雰囲気をかもし出しました。国鉄職員をバッシングの対象にした。
しかし、国鉄の赤字は、結局後々まで残りました。さらに突っ込みを入れれば、JR北海道、九州、四国、貨物については、上場さえできていない。これは民間会社としては成り立ち得ない、ということを暴露しているのではないでしょうか?その上、新幹線と平行している在来線は切り離され、不便な第三セクターになっています。
中曽根政治で何か解決したのでしょうか?
もちろん、「我田引鉄」は問題だった。しかしそれならば、それを防ぐような民主的な手立てを考えるべきでしょう。外部監査を強化することがひとつあるでしょう。あるいは逆に国会の関与を強めることで「一部の国会議員が裏でこそこそ圧力をかける」ことのないようにする、という手もあります。
それこそ昔のように「鉄道省」にしてしまうという手さえ考えられるのです。
あるいは、地方政府に財源を渡した上で、地方政府に任せるという手もあるでしょう。中曽根政治で明らかに、地方の交通事情は悪くなり、ますますクルマ依存が進んだのは間違いないと思います。
その次のポピュリズム的なものは、結果としてでしょうが、1980年代末の土井たか子さん率いる日本社会党がかもし出した。「だめなものはだめ」と消費税に反対して票を取った。ただし、同党は、その後、消費税引き上げを推進し、信望を失い、急速に衰亡します。
時は変わって21世紀。小泉総理は、最初から最後までほとんど壊れたテレコのように「郵政民営化」「改革」しか言わなかった。何かよくなったことがあるでしょうか?
ポピュリズムは不毛な結果しかもたらさないような気がします。
もちろん、「庶民より」か、「えらい人より」か、など大まかな方向性はわかりやすくする必要があると思います。
しかし、個々の政策を捨象して、一律にレッテル張りし、「**さえすればよくなる」「**さえやっつければよくなる」というのは乱暴な話です。
たとえば、高齢者でも、所得が高い人から低い人、財産がある人からない人までおり、ひとくくりにはできない。きめ細かな対応が必要になってきます。高齢者を一律に恵まれているとしてスケープゴートにする議論も、一律に弱者としてしまう議論も不毛だと思うのです。
最近たたかれている公務員にしても、本当に減らすのが正しいのでしょうか?たとえば、「えらい人」は団塊の世代の退職を機会に減らし、現場サービスを充実させる、そのために介護や医療、教育で公務員を増やす、というのも手だと思います。
方向性はわかりやすくてよい。しかし、具体策となると、そうそう単純な話ではいきません。より多様な声が反映するような議会のもとできちんと議論していかないといけないと思います。
外交でも、単純にアメリカが悪いとか、中国が悪いとかだけ決め付けても仕方がない。悪いのは悪いのですが、しかし、その中で現実として、どう立ち回っていくのかということ。
最低限、エネルギーや食料が確保できるようにするにはどうすればよいか?ここが鍵だと思います。
現実的には、おそらく、アメリカとも、中国とも、ロシアともそれ以外とも、それなりの関係をつくる。しかし、「過剰な期待」を相手に対してしない。相手国は最終的には自国民を食わせることを優先させることは念頭に置く。エネルギーについても当面、自給の努力をしつつ、そのことを通じてまた、相手から譲歩を引き出すのもまた外交です。(足元を見られないようにする。)
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by hiroseto2004
| 2008-08-07 23:16
| 新しい政治をめざして
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