高齢者虐待を考える
2008年 10月 08日
2007年度の高齢者虐待は、家庭内でのものは6%増加しました。
もちろん、防止法が施行されて、2年目で、制度が定着してきたという影響があり、一概に実際の件数が増えたかということは即断できません。
ただ、虐待の加害者と被害者の内訳を見ると興味深いものがあります。
虐待された被害者の77%が女性です。
これは、特に体に衰えがくる後期高齢者になると、寿命が長い女性が多いということもありますから、当然といえば当然です。
一方、加害者は息子が41%、夫が16%、娘が15%で、男性の加害者が息子と夫だけで57%を占めています。
ここに問題の深刻さを感じます。
女性の場合は、いままでずっと伝統的役割分業の中で、いわば、家族の介護を押し付けられてきた伝統があります。もちろん、それはおかしい話なのですが、そういう経緯もあって、友人や知人などのネットワークも一定程度ある場合も多い。相談しやすいのです。
ところが、男性の場合は、そういうネットワークがない。仕事一筋人間だったら、地域に友人や知人もいない。さらに、男性の場合は「男の沽券」が妙に他人の助けを得まいとする方向に働くのではないか、とも思うのです。
さらに、介護を担おうとしても、職場の理解がない、ということもあるでしょう。親の介護で休むとなったら、女性よりは男性への視線のほうが厳しいのは現実だと思います。
逆にいえば、それがまた、女性にばかり介護を担わせようとするジェンダーバイアスと表裏一体なのです。そして、介護はどうせ、女性がするものだからということで、介護労働者の賃金も抑え込まれることとも表裏一体です。
ところが、実際には、子どもの数も減って大家族から核家族、あるいはシングルも多い中で、介護の担い手も少なくなり、男性も現実に担わなくてはいけなくなっている。
そういう中で、不慣れな男性が、多く、虐待に走ったり、ひどい場合は心中に走ったりしている例もあると思います。
それと、妻といえど女性。「女性に何かいわれるとむかつく」、という男性も年配者にはまだまだ多い。そういうこともあるのではないか。
こういうことも踏まえると、ますます、介護をする人を支援することも大事ではないか、と思うのです。
最悪、親を殺してしまうよりは、きちんと支援を受けること。またそうしやすいような環境を行政も整えることです。
改めて「介護者支援法」の制定を訴えたいと思います。
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/kaigo_news/20081007-OYT8T00227.htm
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もちろん、防止法が施行されて、2年目で、制度が定着してきたという影響があり、一概に実際の件数が増えたかということは即断できません。
ただ、虐待の加害者と被害者の内訳を見ると興味深いものがあります。
虐待された被害者の77%が女性です。
これは、特に体に衰えがくる後期高齢者になると、寿命が長い女性が多いということもありますから、当然といえば当然です。
一方、加害者は息子が41%、夫が16%、娘が15%で、男性の加害者が息子と夫だけで57%を占めています。
ここに問題の深刻さを感じます。
女性の場合は、いままでずっと伝統的役割分業の中で、いわば、家族の介護を押し付けられてきた伝統があります。もちろん、それはおかしい話なのですが、そういう経緯もあって、友人や知人などのネットワークも一定程度ある場合も多い。相談しやすいのです。
ところが、男性の場合は、そういうネットワークがない。仕事一筋人間だったら、地域に友人や知人もいない。さらに、男性の場合は「男の沽券」が妙に他人の助けを得まいとする方向に働くのではないか、とも思うのです。
さらに、介護を担おうとしても、職場の理解がない、ということもあるでしょう。親の介護で休むとなったら、女性よりは男性への視線のほうが厳しいのは現実だと思います。
逆にいえば、それがまた、女性にばかり介護を担わせようとするジェンダーバイアスと表裏一体なのです。そして、介護はどうせ、女性がするものだからということで、介護労働者の賃金も抑え込まれることとも表裏一体です。
ところが、実際には、子どもの数も減って大家族から核家族、あるいはシングルも多い中で、介護の担い手も少なくなり、男性も現実に担わなくてはいけなくなっている。
そういう中で、不慣れな男性が、多く、虐待に走ったり、ひどい場合は心中に走ったりしている例もあると思います。
それと、妻といえど女性。「女性に何かいわれるとむかつく」、という男性も年配者にはまだまだ多い。そういうこともあるのではないか。
こういうことも踏まえると、ますます、介護をする人を支援することも大事ではないか、と思うのです。
最悪、親を殺してしまうよりは、きちんと支援を受けること。またそうしやすいような環境を行政も整えることです。
改めて「介護者支援法」の制定を訴えたいと思います。
高齢者虐待、家庭内6%増…施設内は15%増
2007年度の高齢者への虐待件数は、家庭内で1万3273件(前年度比6%増)、介護施設内で62件(同15%増)あったことが、6日公表された厚生労働省の調査でわかった。
いずれの場合も被害者の8割が女性。家庭内虐待では、4割が息子による虐待だった。
調査は、高齢者虐待を見つけた人に通報を義務付けた高齢者虐待防止法(06年度施行)に基づくもの。全区市町村、都道府県に、虐待件数や対応状況を聞いた。
それによると、家庭内虐待の被害者は77%が女性で、40%が80歳代。認知症の症状が認められた人が少なくとも4割いた。加害者は息子(41%)が最も多く、次いで夫(16%)、娘(15%)の順だった。
虐待の種類では、暴力を加えるなどの「身体的虐待」(64%)、暴言を吐くなどの「心理的虐待」(38%)、「介護放棄」(28%)、財産を奪うなどの「経済的虐待」(26%)の順で多かった。
一方、施設での虐待は、グループホーム、特別養護老人ホームで発生した事例がそれぞれ3割を占め、虐待者の84%が介護職員だった。
区市町村が把握した虐待による死亡例は、前年度より4件減って27件に。13件が介護者による殺人で、7件が介護放棄による死亡、4件が心中によるものだった。
自治体での取り組み状況では、ほぼすべての区市町村で、窓口の設置が完了した。この結果、通報件数が増え、家庭内虐待の通報は1万9971件(前年度比9%増)、施設内虐待は379件(同39%増)となった。
虐待件数の増加について、厚労省認知症・虐待防止対策推進室は、「法施行から2年が過ぎ、高齢者虐待防止法への理解が進んだため」としている。
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/kaigo_news/20081007-OYT8T00227.htm
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from 健康な高齢者になるゾ!
at 2008-10-17 00:12
タイトル : 老人下宿の倒産
老人下宿の運営会社が倒産し、そこに住む高齢者たちが行き先もなく、お金もほとんどとられてしまったということがニュースになっています。 老人下宿というのも、凄い言い方だとおもったのですが、検索してみぎ..... more
老人下宿の運営会社が倒産し、そこに住む高齢者たちが行き先もなく、お金もほとんどとられてしまったということがニュースになっています。 老人下宿というのも、凄い言い方だとおもったのですが、検索してみぎ..... more
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from お好みニュース
at 2008-10-23 12:49
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from 家族介護ネットワーク
at 2008-12-05 17:25
by hiroseto2004
| 2008-10-08 12:54
| 介護・福祉・医療
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