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庶民派知事で何があっても心配いらない広島を ヒロシマ庶民革命


by hiroseto2004

インフレとデフレについて

インフレとデフレについての、明快な解説が、先週号の「経済コラムマガジン」に載っています。

http://www.adpweb.com/eco/eco548.html

筆者の理解では、インフレは通貨の膨張などによって需要が大きくなる現象である。問題はインフレと物価上昇の関係である。たしかに需要増は物価上昇の要因になりうる。しかし現実の物価上昇の要因は複雑である。

需要増がなくとも価格が上昇するケースがある。例えば市場の寡占化が進めば、大企業による価格操作が行われ易い。寡占による価格操作は国内に留まらず世界的になっている。例えばOPECのように価格操作を公然と目指す組織もある。鉄鉱石も僅か3社で世界の生産量の四分の三を占めている。ここ数年、鉄鉱石が急騰したが、これは新興国の需要増という要素だけでなく、市場の寡占化の影響が大きい。

反対に競争的な市場では、需要増があってもなかなか価格が上昇しない。このようなことは市場参加企業の数が多く、技術革新の激しい市場でよく見られる。半導体などはこの典型であろう。


標準的な経済学の教科書では、物の価格は需要と供給で決まることになっている。たしかにミクロで見れば生鮮の農産物や魚などの価格は、需要と供給で決まる要素が強い。右肩下がりの需要曲線と右肩上がりの供給曲線の交差するところで、売買の数量と価格が決定されると言って良い。

ところが卵のように、需要の増減があってもここ数十年ほとんど値段が変わらないものがある。つまり卵の供給曲線は右肩上がりではなく、ほぼフラットトと考えられる。したがって需要の増減があって需要曲線がシフトしても、価格はほとんど変わらないということになる。


さらに中長期的に見れば、需要が増えればむしろ価格が下がるものがある。この場合、供給曲線は右肩上がりどころか右肩下がりということになる。携帯電話やテレビ、そしてパソコンなど実におびただしい商品が需要増に伴い価格が低下している。これは需要増によって、新しくより効率的な生産設備が増強されたり、生産物一単位当たりの固定費が低減するからである。

また通信のように需要増があっても、追加的な経費がほとんどかからないものもある。06/3/13(第428号)「コンビニ弁当の話」で取上げた光ファイバーWDM(光波長分割多重伝送)装置は、たった2億円であるが光ファイバーの通信能力を40倍にする。このような技術革新によって通信の価格は年々下がっている。

そして人々の消費構造で、需要増に伴い価格が逓減する物の割合が大きくなっている。逆に需給量で価格が決まる生鮮食料品などの消費比率は小さくなっている。また食料品全体で言っても、冷凍技術や生産技術の向上によってほぼ一定の価格で商品が供給されている物が多くなっているのが現実である。

ここまでの話をまとめれば、総供給曲線は標準的な経済学の教科書で想定しているような右肩上がりではなく、少なくとも先進国においてはほとんどフラットに近いと考えられる。実際、近年石油や穀物などの一次産品の価格が急騰したが、先進国における消費者物価指数の上昇はわずか数パーセントに収まっている。


新古典派の経済学者や構造改革派はインフレ=物価上昇という構図にこだわっている。これは財政支出増によって需要創出するというケインズ政策を否定したいためである。政府が財政支出で需要を創出しても、一方で物価が上昇するため実質GDPは伸びず、無駄と言いたいのである。04/11/1(第365号)「妄言・虚言の正体」で紹介したA教授のシミュレーションプログラムの、わずか1兆円の財政支出の増加でハイパーインフレーションが起るというたわごともこの延長線上の話である。

彼等はインフレと物価上昇をどうしても結び付けたいのである。だから物価上昇率のことをインフレ率と呼んだりする。また需要不足による設備の遊休や失業というものは発生しないものと想定している(遊休の設備は陳腐化しており、失業者は使い物にならない人々と見なしている)。


総供給曲線は、確かにフラットだと思います。一部の商品を除けばです。

多くの商品は、供給曲線は右肩下がり、というのはそのとおりで、パソコンなんぞ、大昔は一台何百万もしたものが今は、数万円というものもあるわけです。電卓も一台30万円、なんて時代がありましたね。

ですから、需要追加→ハイパーインフレ、というのは間違い。

むしろ、物が余っている中で、特に教育や福祉、サービス業を伸ばしていくにはどうすればいいか、ということだと思います。環境とかエネルギーとかも含むでしょうね。そういうところを伸ばしていけるのは本来は、幸せなことです。

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Tracked from とくらBlog at 2008-11-21 00:25
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by hiroseto2004 | 2008-11-20 19:31 | 経済・財政・金融 | Trackback(1)