「すき家」未払い残業代事件での仙台労基署の書類送検についての声明(転載)
2008年 12月 13日
「すき家」未払い残業代事件での仙台労基署の書類送検についての声明
2008年12月11日
首都圏青年ユニオン
首都圏青年ユニオン顧問弁護団
1,本年4月8日、「すき家」で働く東京公務公共一般労働組合青年一般支部(以下、「首都圏青年ユニオン」という。)の組合員3名が、仙台労働基準監督署に対して、労働基準法の定める時間外割増賃金(以下、この賃金のことを「残業代」という。
)の未払いがあるとして、株式会社ゼンショー(以下、「ゼンショー」という。)及びゼンショーの代表取締役小川賢太郎氏を労働基準法違反で刑事告訴した。
首都圏青年ユニオンは、組合員たちの要求である残業代等の支払いなどの点についてゼンショーに対し団体交渉を要求したが、ゼンショーは、2007年2月以降、団体交渉を拒否している。やむを得ず、組合員たちは、2007年10月2日に仙台労働基準監督署に対して是正指導を申告した。
しかるに、ゼンショーは同署の調査に対しても誠実に対応しなかった。
組合員たちは、以上の経緯を経て、刑事告訴に踏み切ったのであった。
2,12月10日、仙台労働基準監督署は、「すき家」で働くアルバイト従業員2名につき、2005年12月から06年9月に対する残業代の未払いがあるとして、労働基準法違反(賃金未払い)で、「すき家」を経営する株式会社ゼンショーと、ゼンショーの給与担当幹部を仙台地方検察庁に対し書類送検した。
労働基準監督署という行政機関が、法律違反の存在を認めたことの意義は大きい。首都圏青年ユニオンおよび当弁護団は、本書類送検を歓迎する。
3,労働契約を締結したら、労働時間を管理把握し、実際に従事した労働時間に対する賃金を支給するのは、労働契約を締結した使用者の法令上の義務である。
しかし、ゼンショーは、この義務に違反して、法律を守ろうとしないだけでなく、これを一切守る気がないと宣言するかのように次のような行為を行った。
まず、残業代を支払わない理由として、組合員たちの「すき家」での就労は、労働契約に基づくものではなく、業務委託契約であると主張した。しかし、ゼンショーは、「すき家」のアルバイトをホームページ上で募集している。組合員たちが労働者ではないという主張は明らかに詭弁である。
また、ゼンショーは、組合員の1名について、労働基準法41条2号の「管理監督者」であったということも残業代を支払わない理由としてあげている。しかし、「管理監督者」は労働者であることが前提の規定であり、この主張は、一方で労働者性を否定することと矛盾している。
このようにゼンショーは、法令違反を認めるどころか、これをただし是正する意思を全く持たない極めて悪質な態度を取っている。
本件書類送検された案件は、金額としてはそう大きな金額ではない。しかしこれは氷山の一角である。ゼンショーでは、数千人ものアルバイト従業員が働いていると言われている。ゼンショーが上記のような法令違反の態度を取る限り、これらの人たちが丸ごと賃金未払いの被害者となる。このような違法をもたらす企業が、東証一部上場企業として大手を振って歩くことは、日本社会全体にとって大きなマイナスである。このような企業に対し、法は、法に許された手段を持って制裁を加え、正しい法秩序の回復に努めなければならない。
4,近時、「ワーキングプア」「格差」「貧困」といった問題が起き、このような状況下で苦しむ労働者、貧困な民衆が多くいることが社会問題化している。この問題が引き起こされている第一の原因は、企業が労働法令を守らないことである。そうであればこそ、行政機関は、企業に労働法令を遵守させるべく、これを指導し、守る気のない企業に対しては、厳しい法の制裁を加えるべきである。
現在、経済情勢の悪化に伴い、「派遣切り」など、雇用の不安がさらに社会問題化している。厚生労働省は、12月9日に、雇用対策の通達を発した。このように、労働法令を遵守し、労働者の雇用と生活を守ってワーキングプア問題に取り組むことは、国の方針である。
仙台地方検察庁が、公益の代表者として、書類送検に対して、厳正な処分を下すことこそ、ワーキングプア問題の取り組みとしても、日本社会にとって必要な処方箋である。
5,現時点において、書類送検された後も、ゼンショーは組合員たちに対する未払い賃金の支払いを行わない。
仙台地方検察庁は、これに対し断固たる措置を講ずるべきで、書類送検された案件について、ただちに起訴すべきである。
以 上
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by hiroseto2004
| 2008-12-13 22:28
| ジェンダー・人権(労働問題)
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