日本将棋連盟の谷川浩司会長 辞任を正式に表明
日本将棋連盟の谷川浩司会長は、18日午後、記者会見を開き、棋士を一時出場停止処分にするなどの将棋ソフトをめぐる混乱について、「対応に不備があったことは大きな責任を感じている」などと述べ、任期の途中で会長を辞任することを正式に表明しました。
日本将棋連盟は、去年、対局中に将棋ソフトを不正に使った疑いがあるなどとして、三浦弘行九段を一時、出場停止処分としましたが、連盟が設けた調査委員会が先月、証拠はなかったという結論を出しました。
これについて、日本将棋連盟の谷川浩司会長は、18日午後、記者会見を開き、「将棋ファンの皆様や三浦九段に誠意をお伝えするには会長が辞任するのがいちばんという結論に至りました」と述べ、責任を取って会長を辞任することを正式に表明しました。
また、「問題になった対局の調査など、対応に不備があったことは大きな責任を感じている。三浦九段に本当につらい思いをさせてしまったことについても大変申し訳なく思っている」と述べたうえで、不正防止の規則の整備など対応が遅れていたことについても触れ、「もっと早い段階で手を打っておけば、このような問題にはならなかったかもしれないと強く感じている」などと話しました。
谷川会長は、「光速の寄せ」と呼ばれる鋭い寄せで知られ、史上最年少の21歳で名人のタイトルを獲得しました。平成24年に日本将棋連盟の会長に就任し、任期はことし6月までとなっていました。
連盟は今後、臨時総会を開くなどして、後任の会長の人選について話し合うことにしています。
三浦九段「早く将棋界が正常に」
三浦九段は「このような結論になったのは残念です。将棋ファンのためにも、早く将棋界が正常に戻ることを期待しています」とコメントしています。
出場停止から一転謝罪へ
日本将棋連盟は去年10月、三浦九段に対する年内の公式戦の出場停止処分を決めました。
この処分は、三浦九段が対局中に席を離れることが多く、将棋ソフトを不正に使ったのではないかとほかの棋士から指摘を受けたことをきっかけに、谷川会長やほかの理事などが聞き取りを行ったうえで決められました。
三浦九段は、挑戦者に決まっていた竜王戦などに出ることができなくなり、NHKのインタビューに対して「決して不正はしていないので処分を受けるいわれはない」と話すなど、疑惑に全面的に否定していました。
連盟はその後、3人の弁護士による調査委員会を設け、疑惑の対象となった4つの対局について調査を続けました。その結果、調査委員会は先月26日、「不正の根拠の1つとされた離席については事実がなく、不正行為に及んでいたと認めるに足りる証拠はない」という結論を発表しました。
これを受けて谷川会長は、翌日の会見で「将棋ファンの皆様や三浦九段にご迷惑をおかけしたことを深くおわび申し上げます」と謝罪し、みずからと理事7人を今月から3か月間、減給の処分にしています。
三浦九段は羽生善治三冠と対局へ
18日の会見では、先月まで出場停止処分を受けていた三浦弘行九段の復帰後初めてとなる対局についても発表されました。
三浦九段は、来月13日に行われる竜王戦の予選で羽生善治三冠と対局することになります。